目次 | 四季のくらし | 「肥後もっこす」とは |
四季のくらし |
熊本の新年は、肥後独特の赤酒で屠蘇(とそ)を祝うことから始まる。各地の神社には一年の息災(そくさい)を祈る大勢の初詣(はつもうで)客がつめかけます。七草、どんどやも終わり正月気分がすっかり抜ける2月になると、400年の歴史を持つ植木市(うえきいち、右写真)が熊本市内の白川河川敷(かせんじき)で開かれ、ときおり寒さがぶり返すものの、人々は早くも春の訪れを感じ取ります。
3月には冬の長い阿蘇(あそ)にもようやく春のきざしか感しられ、牧草の芽ぶきを促(うなが)す野焼きが始まります。阿蘇谷一帯で繰り広げられる炎の祭典もこの時期です。春の到来(とうらい)を待ちかねた阿蘇の人々の喜びか一気に高まる時でもあるのです。平野部では3月下旬頃から桜も見頃となります。5月にはツツジやミヤマキリシマなどの花だよりが次々と開かれ、あちこちで花見の宴(えん)が催されます。
水ぬるむ季節になると潮干(しおひ)狩りやUl莱採りに海山へ出かける人々も多く、自然の恵みを満喫(まんきつ)する姿が見受けられます。5月の端午(たんご)の節句にはあちこちの庭先に勇壮なのぼりがはためきます。阿蘇杖立(つえたて)温泉郷のこいのぼり祭は素晴らしく、色鮮やかな数千のこいのほりが泳ぐ様子は圧巻(あっかん)です。肥後菖蒲(ひごしょうぶ)が美しく咲き誇る6月も過ぎ、梅雨明けを迎えると、清正公(加藤清正)の命日前夜7月23日には本妙寺の頓写合(とんしゃえ)がにぎやかに開かれます。8月に入ると夏の三大火まつり(火の国まつり・古墳察・山鹿灯籠祭)が始まり、真夏の炎のページェントが繰り広げられます。肥後の夕凪(な)ぎと呼ばれる無風状態の暑さを避け、海水浴や山にと涼を求めて繰り出す人々も多い時期です。
9月になると各地で秋祭りが行われますが、熊本市の藤崎八幡宮例大祭は、勇壮(ゆうそう)な馬追いや武者行列で知られています。この頃から朝夕はめっきりと涼しくなり、秋の気配が感しられる<随兵寒会(ずいびょうがんや)という>ようになります。10月はさわやかな秋晴れのもと、あちこちで体育大全等が開かれ、刈り取られた稲の束が積み上げられた田園風景を目にします。
11月に入るとそろそろ冬支度を整え、下旬近くになると南国熊本にも冬の気配が濃くなってきます。本格的な寒さを迎える12月になると人々の暮らしもあわただしさを増し、街にジングルベルが流れ始めるとともに、街は華やかな装いを呈(てい)します。
肥後もっこす |
頑固一徹(がんこいってつ)で無骨(ぶこつ)な人物・性格を指した熊本の方言。土佐(高知県)の「いごっそう」と同様、肥後人の特性をうまく言い表わした言葉として知られています。一度言い出したら頑としてまげぬ一本気、悪く言えはちょっとへソ曲がり。しかし、非常に純粋な面を持った性格として、近年良い意味に使われることも多いようです。(注:ホントかな? あまりいい意味には使わないようです? 土佐の「いごっそう」は威張れるらしいのですが、熊本の「もっこすは」・・・。他人に対しては言っても、自分のことは、謙遜して言うくらいでしょう。しかし、誤用が進み、何時の間にか正しい用法になってしまうのも言葉の進化でしょうか。)
独特なこの気質は、長い歴史の中で培われてきたもので、『人国記』の中にも次のように書かれています。「(肥後)武士の意地、筑前、豊前両国を合わせたるより上と知るべし」「意地は熊本、気は薩摩」。
また、相手の言動をはぐらかしたり、嘲弄(ちょうろう)的(からかうような)態度をとる「わまかし」や、ひねくれ者、異風者をさす「いひゅうもん」、それに新しがり屋の意を表わす「わさもん」などが肥後人気質を良く表わす言葉として使われます。