熊本文学散歩


熊本県南 詩跡(しせき)(たび)

熊本県高等学校文化連盟吟詠剣詩舞部

 2008年の全国高等学校総合文化祭(群馬)において、熊本県高等学校文化連盟吟詠剣詩舞部(ぎんえいけんしぶぶ)が「吟詠剣詩舞構成番組」として、熊本県南の漢詩や和歌を吟詠や剣舞などで紹介しました。そのシナリオを基に本ページを作成させていただきました。ところで、和歌や漢詩は縦書きが基本かと縦書きを試みましたが、縦書きに対応していないブラウザもあり、横書きも!


 
クリックすると案内板の拡大写真が
 境橋へは国道3号線の鹿児島との県境手前を左折境川の上流へ進むとJR鉄橋の先に見えてきます。写真は別ページ「水俣の石橋」より。
 
  

一、水俣

 水俣市の南八.五kmを西へ流れて八代海に注ぐ境川は、肥薩(肥後と薩摩)の州境(くにざかい)をなす。九州遊歴中の頼 山陽がこの川を越えたのは、文政元年九月七日のこと。このときの感慨を次のように記している。


  肥薩の界を過る    頼山陽(らいさんよう)

        (吟)熊本工業高校 濱田 陽介

 一澗平分(いっかんへいぶん)す南北の(しゅう)
 乱沙深草(らんさしんそう)両辺(りょうへん)(あき)
 ()つて(ぞく)する(ところ)なし(ただ)渓水(けいすい)にのみ
 幾股(いくこ)潺湲(せんかん()(したご)うて(なが)

 
 

二、水俣

 昭和五年の春、生れ故郷の水俣に帰省。徳富蘇峰、ときに六十八歳。車中での感慨を次のように述べている。
水俣市浜町に残る徳富蘇峰の生家

  故郷に入る      徳富 蘇峰 作

        (吟)玉名工業高校 大野 弘貴

 南銀城(みなみぎんじょう)()れば芳草(ほうそう)(あお)
 龍峰(りゅうほう)球水送迎(そうげい)(いそが)わし
 満車親友(まんしゃしんゆう)満眸(まんぼう)(けい)
 一路花(いちろはな)()故郷(こきょう)に入る

 
 
佐敷の「野坂の浦」の歌碑 クリックすると案内板の拡大写真
 野坂の浦(上の写真、2008/07/28撮影)は、芦北町佐敷の打たせ船の発着場や計石温泉センターの先ですが、同じ芦北町内にもう1箇所、田浦港の近くにも「野坂の浦(下の写真、2008/08/17撮影)」が。どちらが本当の野坂の浦かは分かりません。両方とも似かよった場所で、どちらにしても芦北町の不知火海沿岸であることは間違いないかと。
田浦の「野坂の浦」、クリックすると碑の拡大写真 クリックすると案内板の拡大写真
 
 

三、葦北

 景行天皇が芦北海岸(熊本県葦北郡)を巡幸されてからおよそ一世紀を経たころ、この地に派遣された長田王が詠んだ和歌がある。


  野坂の浦を過る    馬場 蘆荻(ろてき) 作 
  ※和歌 あしきたの  長田(ながたの) (おおきみ) 作

        (吟)八代高校  内田 実里
        (吟)八代高校  平山菜見子 

 江風颯々(こうふうさつさつ)たり雨餘(うよ)(てん)
 野坂湾頭(のざかわんとう)眺望(ちょうぼう)(あざやか)なり

  ※ 葦北の野坂の浦ゆ船出して
      水島にゆかむ波立つなゆめ

 (ひと)古歌(こか)(うそぶ)けば雲水渺(うんすいびょう)たり
 釣舟一片(ちょうしゅういっぺん)清漣(せいれん)(ただよ)

 
 
クリックすると案内板の拡大写真 クリックすると歌碑の拡大写真
 水島は八代市水島町の球磨川左岸(南側)の河口近くにあり、写真の青い屋根は龍神社、その先に見えるのが水島。海岸沿いの道路を100mほど進むと左手に歌碑があります。現在の水島は堤防のすぐ近くにありますが、この辺りは広大な干拓地で、当時は離れ小島だったかと。なお、水島へは国道3号線夕葉橋を渡った左岸を河口へ向かうのが分かりやすいか、夕葉橋より4km程。写真は2008/07/28撮影。
  
 

四、八代

 其の上の風流侍従・長田王が詩に詠んだ水島(熊本県八代市水島町)は、川風と磯の香りがとけあうところ。球磨川の流れの尽きるところでもあります。


  和歌 聞きしごと   長田 王(ながたのおおきみ) 作

       八代白百合学園高校 大住 葉子

 聞きしごとまこと(とうと)くくすしくも
    (かむ)さび居るかこれの水島
  〔 ※ 繰り返し 〕

 
 
昔ながらの川下り 最近人気が高まったラフティング
 人吉から鍾乳洞「球泉洞(きゅうせんどう)」までの昔ながらの急流「球磨川下り(左上)」、若者にはゴムボートを使ったラフティング(右上写真)も人気!写真は2008/08/13撮影。
 
 

五、人吉

 かつての(いかだ)流しも、参勤交代の船団も球磨川の無数の瀬を乗りきって、四十八瀬の殿(しんがり)(うた)われた「遥拝(ようはい)の瀬」を目指しました。そして今は、観光の船下りが…。


  球磨川を下る      玉城 白水(たまき はくすい) 作

        (吟)御船高校    岩永 麻由
        (舞)熊本国府高校 岩谷 仁剛
        (舞)熊本国府高校 田代 貴慶

 白雲生(はくうんしょう)ずる(ところ)(これ)仙関(せんかん)
 指顧(しこ)千巌万壑(せんがんばんがく)(あいだ)
 四十八灘流水(しじゅうはちだんりゅうすい)(はや)
 軽舟己(けいしゅうすで)()ぎて人寰(じんかん)(いた)

 

 
 漢詩とか和歌と聞くだけで国語の授業を思い出し、何となく眠くなる方もいらっしゃるのでは、実は私も・・・。しかし、ふるさと熊本の景色が詠まれているとなれば話は別、詩歌やそこに登場する風景に興味を・・・。水俣から芦北、人吉、八代のコース、肥薩オレンジ鉄道とJR肥薩線の旅も楽しいかと。更に時間とお金に余裕があられれば、打たせ船や球磨川下りも。(私もいつの日か、ラフティングに・・・)自然美ばかりか、海や山の幸、それに温泉等も満喫できるコースでも。2008/08/13
最終更新:2008/08/20 制作:熊本国府高等学校パソコン同好会

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