地球上の水は14億km3(1,385,984,000km3)、その97.5%が海水などの塩水、淡水はわずか2.5%。また淡水の70%は氷で、極地や高地にあり、大半の淡水は利用が難しい。人が利用可能な淡水はわずか0.01%に過ぎないという。
世界気象機関の資料(農林水産省資料)によると、1950年の世界の水使用量は1,359km3、1995年には3,572km3、45年で2.6倍の伸びである。利用可能な水の割合を増やし、2.6倍の水を確保してきた人間、人類の努力と知恵を垣間見る思いである。しかし、限りある地球上の水、今後も使用量の増加に対応していけるという保障はない。
生きる為の安全な飲料水を確保できない人々も、アフリカで36%、アジアで19%、中南米で13%もいるそうだ。世界の人口60億人のうち12億人が不衛生で汚れた水を飲んでいる。学校にも行かず、毎日朝夕の2回、3時間ずつかけて水汲みをしている子どもたちもいる。国連の目標も「自宅から1km以内の水源、1人当たり1日20Lの安全な飲料水の確保」という。蛇口をひねるだけでおいしい水を得ることができる私たちには想像もできない。
日本は食糧輸入大国、ということは水輸入大国でもあるということ。食糧の輸入は、水不足で困っている地域に、更なる負担を強いているのだ。なぜならば、小麦1トンを生産するのに必要な水は2000m3、大豆1トンでは2500m3、牛肉に至っては何と20700m3にも。身近な数で表すと,牛肉200gを生産するには水4000リットルが必要ということ。これらの食糧輸入に伴い、年間439億トン(農林水産省 農村振興局の試算「危機に直面する世界の水と食料生産」より)もの水を輸入していることになる。
これは、日本の生活用水(164億トン)の2.7倍もの量である(H10年)。「湯水のように使う」ということわざがあるように、水に恵まれているはずの日本が、水不足に悩んでいる地域から水を輸入している、それも「世界最大の水輸入国」という。大問題である。
地球温暖化がもたらす農作物への影響は大きい。気温上昇に伴い、日本での米作等にも大きな影響が(高温の為、北日本を除いて稲作が不可能になる)、今後は米輸入も拡大する恐れがある。すなわち、水輸入が更に拡大されることになるということ。温暖化対策、CO2排出量抑制、水問題などを考えてゆくと、食料自給率の向上は単なる国内問題でなく、他国の環境や安全保障を脅かす国際問題へと発展しそうだ。わが国のカロリーベースでの食料自給率はわずか40%(H19概算、農林水産省資料)。国際貢献のあり方を含めて、農業や食料政策の早急な見直しが必要だろう。水温上昇は水質悪化や生態系への影響もある。気温上昇は更なる水需要増にも繋がる。問題は大きくなるばかり。ささやかだが、あとぜき徹底!
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