熊本の方言(熊本弁)

熊本弁の指示詞

工事中!

 代名詞の「こる」「そる」「ある」「どる」、連体詞の「こん」「そん」「あん」「どん」
副詞( )の「こぎゃん」「そぎゃん」「あぎゃん」「どぎゃん」等々・・・
県外の方には耳障(みみざわ)りに聞こえるのでしょうか?


 
近称 意味 中称 意味 遠称 意味 不定称 意味
ここ ここ そこ そこ あすこ あそこ どこ どこ
こる これ そる それ ある あれ どる どれ
こん この そん その あん あの どん どの
こがん こんな そがん そんな あがん あんな どがん どんな
こぎゃん こんな そぎゃん そんな あぎゃん あんな どぎゃん どんな
こげん こんな そげん そんな あげん あんな どげん どんな
こけ ここに そけ そこに あすけ あそこに どけ どこに
こっちゃん こっちへ そっちゃん そっちへ あっちゃん あっちへ どっちゃん どっちへ
こっちさん こっちへ そっちさん そっちへ あっちさん あっちへ どっちさん どっちへ
こやつ こいつ そやつ そいつ あやつ あいつ どやつ どいつ
こがしこ これだけ そがしこ それだけ あがしこ あれだけ どがしこ どれだけ
こしこ これだけ そしこ それだけ あしこ あれだけ どしこ どれだけ
こっどみゃ こいつら そっどみゃ そいつら あっどみゃ あいつら
「どみゃ」には不定称がない?
 
用   例 意   味
コラドケ置コカ?ドルバナ?コッタイ。 これはどこに置こうか?どれをですか?これです。
ソラ ソギャンスットジャナカ。コギャンタイ それはそうするのではない。こうだよ
コッジャ ドギャンモコギャンモナランバイ これでは どうにもこうにもならないよ
コケケ!ソケナ?ハヨキナッセ! ここに来なさい!そこにですか?早く来なさい!

 「こ、そ、あ、ど」は共通語と変わりませんが、「これは」が「こら」、「ここに」が「こけ」、「この」が「こん」のように、語尾が発音しやすいように変化します。「コケケ」には「ニワトリみたい!」とのメールをいただいたことも。話し言葉が発音しやすいように変わっていくのは当然でしょうか。その意味では熊本弁は進化(?)した言葉と言えるのかも知れませんね。次に人称代名詞を紹介します。 

一人称 二人称 三人称
男性 女性 男性 女性 男性 女性
単数 複数 単数 複数 単数 複数 単数 複数 単数 複数 単数 複数
おる おっどん うち うったち ぬし ぬしどみ あた あたどん ある あったち あん人 あん人たち
おどん おどんたち おどん おどんたち あーた あーたがた あーた あーたがた あやつ あやっどん
じぶん じぶんたち あたし あたしどみ じぶん じぶんたち あんた あんたどみ あっどん あっどま
 人称代名詞の特徴:
単数に比べて複数代名詞の種類が多い。各人称とも男女共通なものも多い。男女別では、男性語が豊富。ジブンが一人称にも二人称にもなるのも特徴。ところがジブンは一人称と間違いやすいからか、二人称はジンやジュンと変化も。「わたし」より「あたし」が丁寧とも。アータとアタではアータのほうが敬意度が高い。二人称の複数形は単数形にガタ、タチ、ドンを接続するが、敬意度はガタ、タチ、ドンの順に低くなる。一・二人称に比べると三人称が少ないようです。
 
 「工事中!」を外さず発信します。「あぎゃん」とか「こぎゃん」に特徴的なものを感じて、本ページを思いついたのですが、共通語との大きな違いはさほど見つかりませんでした。熊本弁の人称代名詞には強い調子のものが目立ち、上品な語彙が少ないようにも感じます。共通語の二人称も、敬意度が高いのは少ないようです。それに対して、熊本弁の「あーた」や「あーたがた」などは敬意度が高いようにも思えます。熊本弁が荒々しく感じるのは、方言を使うのは親しい間柄の場合だから、自然とざっくばらんな単語が多くなるのかとも。単に使用頻度の問題とも思えます。目上の人や県外の人と話すのなら、もっと敬意度が高い単語の頻度が高くなるはずでしょう。
 熊本弁の指示詞、もっと特徴的なものが見つかることを祈ります。後を後輩たちに期待します。(2007/08/15)
制作:熊本国府高等学校PC同好会(最終更新:2009/01/06)

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