熊本弁で桃太郎

頂いたメールをもとに、童話「桃太郎」を何人かの方に熊本弁に翻訳していただきました。
一口に熊本弁といっても、地域や個人によって様々な違いがあります。
熊本弁を知る上で参考になるかとここに紹介します。



頂戴したメールです

実は、今度、子供の通っている小学校での学級活動で、方言の読み聞かせをすることになったのです。熊本出身の私なのですが、なんせ、熊本を出て、もう、20年もたっておりますのでなかなか、相手がいないと、スムーズに熊本弁がでてこないのです。
下記のような文章を熊本弁読むときに、
桃太郎むかしむかしの ことでした。
あるところに おじいさんとおばあさんが おりましたと。
おじいさんは やまへ しばかりに いき
おばあさんは かわへ せんたくに いきましたと。
おばあさんが、 かわで せんたくをしていると
かわかみの ほうから おおきなももが
どんぶらこ どんぶらこと ながれてきました。
おばあさんは そのももを ひろって うちへ もどりました。
おばあさんが そのももを きろうとしたら ももが ふたつにわれて 
なかから おおきな おとこのこが うまれてきました。
おじいさんと おばあさんは そのこに ももたろうと なを つけました。
以下のように、書いてみたのですが、どこか変なところがありますでしょうか?
ご指摘いただけたら。。。。と、思います。
ほんと、ぶしつけなメールで、失礼かと存じますが、
もし、よろしかったら、見ていただけませんか?
川むかしむかしの こつだった。
あるとこんに じーさんと、ばーさんが、おんなはったげな。
じーさんな やまん しばば かりに いきなはったて
ばーさんな かわん せんたくに、いきなはってたい。
ばーさんが、 かわで、せんたくばしとんなはったら
かわん うえのほーから ふとーか ももん
どんぶらこ~  どんぶらこ~ち ながれてきたつよ
ばーさんな そんももば ひろうて、うちに もどんなはった。
ばーさんが、そんももば きろうって したら ももん、 ふたーつにわれち
ふとーか おとこんこが うまれてきたったい
ばーさんな そんこに ももたろう って、なば、つけなはったつよ。
よろしくお願いいたします。(2002年10月9日)
頂いたメールの翻訳(?)も、そのままでいいと思いますが、他にも、考えていただきましたのでご紹介します。
山むかしむかしの こつだった。
あるとこんに じーさんと、ばーさんが、おんなはったげな。
じーさんな やまん しばば かりに いきなはったて
ばーさんな かわん せんたくに、いきなはったてたい。
ばーさんが、 かわで、せんたくばしとんなはったら
かわん うえんのほーかる ふとーか ももん
どんぶらこ~  どんぶらこ~ち ながれてきてたい
ばーさんな そんももば ひろう「ち」、うちに もどんなはった。
ばーさんが、そんももば きろうって したら ももん、 ふたーつにわれち
ふとーか おとこんこが うまれてきたったい
ばーさんな そんこに ももたろう って、なば、つけなはったてたい。

むかし むかしの こつでした
あっとけ おじいさんと おばあさんの おんなはったてったい
おじいさんな やまさん しばかり(に) いきなはったてったい(「いかしたってたい」でも)
おばあさんな かわさん せんたくに いきなはったてったい
おばあさんの かわで せんたくば しょんなはっとこれ
かわかみんほうかる ふとーか ももん
どんぶらこ どんぶらこて(「どんぶらこち」でも) ながれちきたってったい
おばあさんな そんももば ひろーて うちさん もどんなはったてったい
おばあさんが そんももば きろうてしなはったら ふたつにわれてしもて
(なかかる)ふとーか おとこんこん うまれてきたってったい
おじいさんと おばあさんな そんこに ももたろうて なばつけなはったてったい
匿名で、次のような翻訳も届きました。(2004/05/24)
川むかしむかしの こつだった。
あるとこんに じーさんと、ばーさんがおんなったっげな。
じーさんな やまん しばば かりに いきなったって
ばーさんな かわん せんたくに、いきなったってたい。
ばーさんが、かわで せんたくばしとんなったら
かわん うえんほーから ふとーか ももん
どんぶらこ~ どんぶらこて ながれてきたったい
ばーさんな そんももば ひろて、うちに もどんなったって
ばーさんが そんももば きろうてしなったら まっぷたつにわれて
そんなかから ふとーか おとこんこが うまれてきたっげな
ばーさんな そんこに ももたろうて なばつけなったげなたい。
匿名で、次のような翻訳も届きました。(2006/11/16)
山むかぁし むかしのこっとたい。
あるぅとこっにぃ じぃちゃんとばぁちゃんのおらしたてったい。
じぃちゃんな やまさん しばかりにいかして
ばぁちゃんな かわさん せんたくしぎゃいかしたてったい。
ばぁちゃんの かわでせんたくば しよらしたら
かわん うえんほうかるっ ふとーか ももん
どんぶらこ どんぶらこ てち ながれっちきたてったい。
ばぁちゃんな そんももばひろち わがえさん もってかえらしたったい。
ばぁちゃんの そんももば きろでちさしたら ももんふたぁつにわれち
なかかる ふとぉか おとこんこのうまれたてったい。
じぃちゃんとばあちゃんな そんこに ももたろう てなばつけたてったい。

しみゃ 

 玉名出身の方だそうです。最後の「しみゃ」もいいですね、終わりという意味で、「おしみゃ」とも。
匿名で、次のような翻訳が届きました。(2007/12/14)
川むかしむかしのことじゃった 
ばさまはかわんほうへ せんたくにいかしたったい
じさまは やまんほうへ しばばね かりに行かしたとたい
ばさまが洗濯しよんなはったら 川ん上ん方からね
できゃあモモが流れてきたとたい
そんモモば 家に 持って帰って切ろうかしたら
モモが2つに割れちから 男んこが産まれたてよ
その男んこに モモ太郎って名ば付けらしたとよ。

またまた微妙に違う言い回しです。同じ熊本弁でもいろいろありますね。
また,次のような翻訳をいただきました。(2009/10/21)
桃太郎むかーしむかーしんこつばってん、あるとこんにじさんとばさんのおんなはったてったい。
じさんな、山さん芝かッにいて、ばさんな川さん洗濯しぎゃいきなはったてったい。
そんばさんの、川ん水で洗濯ばしよったとこれ、川んかみん方かる、たまがるごた太か
桃のきゃー流れちきたげな。ばさんなそん桃ば拾ちかる家さん戻んなはった。
ばさんが、そん桃ばうち切ろうてしなはったらカパーンて二つんきゃーわれちか
そん中かる ふとーか男ん子のひっと出てきたてたい。
そっだもんだけん、
じさんとばさんなそんひっとでたとにももたろうてつけなはったていうはなしたいw

今更という感じですが、見ていると気になって仕方なかったので送らせていただきましたw

ありがとうございました。またまた違う雰囲気をかもし出しているようです。地域や話す人によって様々な言い回しがありますね。子供たちに語る話は,語り手ごとに,その時々によって,少しずつ違うところに意味があるのかと思われます。今後とも様々な翻訳例をお願い致します。
 
 ありがとうございました。各人それぞれ微妙な違いがあります。また語り言葉となれば、発音や抑揚等それぞれの話し手によって更に変っていきます。音声で紹介するのも面白いかも知れません。味わいのある方言を音声に残すことも大切なこと、検討課題です。

 熊本弁にもいろいろ(地域や個人差が)あるので、もっと集めるのも面白そうですね。手に入り次第、追加していきたいと思います。閲覧者の皆さまからの投稿も歓迎します。

最終更新:2009/10/22
制作:熊本国府高等学校パソコン同好会

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