熊本の方言(熊本弁)

方言「とっと」・・・地域起こしへの利用例
芦北町の「くまがわ 川のとっとっと館」の命名由来より


あっとっと 会っている、合っている けっとっと 蹴っている
いっとっと 言っている、入っている こっとっと 凝っている
うっとっと 売っている、打っている さっとっと 去っている
えっとっと 選(え)っている しっとっと 知っている
おっとっと 追っている、織っている すっとっと 吸っている、刷っている
かっとっと 買っている、飼っている せっとっと 競っている
きっとっと 切っている そっとっと 剃っている、沿っている
くっとっと 食っている、繰っている ・・・ ・・・・・・・・・
 このように考えていけば、五十音の「ら行」以外のほとんどに「とっと」を付けた言葉があるようですね。球磨川の瀬戸石ダム横(葦北郡芦北町、国道からダムを渡った対岸)にある魚道観察館「くまがわ 川のとっとっと館」に館名の由来の中に、「あ」〜「お」が紹介してありました。ちなみに、魚道とは、魚が川下から川上に遡上(そじょう)する際に、ダムや堰(せき)などがあると通れないので、自由に行き来できるように人工的に造った「魚の通り」道です。
川のとっとっと館 とっとっと館の案内看板
川のとっとっと館の名前の由来
日本の各地には「方言」という、その地域特有の”共通語”なるものが存在します。
「方言」はそのお国ならではの何かほっとするような”あたたかさ”が漂う地域文化でも有り、ややもすると今、忘れがちな日本人の心がそこには存在します。
「とっとっと」とは、芦北町、特にこの吉尾地域で使われている方言です。
例えば・・・
”あ”っとっと(逢っている)”い”っとっと(入っている)”う”っとっと(売っている)・・・・・・(中略)・・・・・・とっとっと館がある芦北町では、人と自然の共生をテーマに、人や自然に配慮したやさしい環境づくり努めています。
そこで、多くの人々に愛される施設を願い、広く芦北町で愛されている方言から「川のとっとっと館」と命名されました。(以上、右上写真の紹介文より抜粋 撮影:2003/10/26 )
 

 「とっと」は「とと(魚)」にも通じ、掛け言葉にもなっているようですね。言葉を楽しむことも面白いものですね。川のとっと館はログハウス風の2階建て、地下1階に魚道の観察施設があるほか、魚道や球磨川についての説明パネルや魚の水槽が展示してあります。ところで、この紹介文には「芦北町、特にこの吉尾地域で使われている方言」とありましたが、県内の他地域でもこの使用例はあります。このように方言からネーミングされたものは、やさしさというか、心和むものを感じます。ややもすれば忘れられがちな方言を、後世に伝えていくためにも貢献できます。更には、地域共通の言葉「方言」は地域共有の財産であり、まさに地域の合言葉!地域起こしにも役立ちます。もっともっと活用したいものですね、私たちの「熊本弁」を!

 ところで、球磨川沿いにも「芦北町」があることを今回初めて知ることになりました。球磨川沿いは、八代郡市を除けば全て「球磨郡」ばかりと思っていました。坂本村の先は国道219号線が球磨川の右岸を走っており球磨郡ですが、左岸は葦北郡だったんですね。熊本県内のこと、まだまだ知らないことが多いですね。反省!

制作:熊本国府高等学校PC同好会(2003/10/27)

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