熊本文学散歩


最近の熊本の文学者(詩歌関係)

 「熊本文学散歩」で取り上げていなかった文学者で、詩歌関係の方を中心にご紹介します。小説関係は別ページに!
 

〈俳句・短歌〉

中村 音子(1909年〜)
沖縄県本部町で、育ちました。
昭和30年熊本へ居住し、「遠岬」や「月桃」などの作品集を発表。
(遠岬)雑草は青々として生ひ茂るこの地下にして父母眠り給ふ
(月桃)夕空に光る無数の青き星わが哀愁の星よまたたけ
  
遠山 仁哉(1916年〜)
八代郡鏡町大字有佐。
「遠鳴る潮」「せせらぎ」などを発表。
(せせらぎ天の火はああ邪を焼かぬのかちひさき農をしたたかに焼く
(遠鳴る潮)坑内の燃ゆる炎のなかの命痛ましとのみいふべきものか
 
安永 蕗子(1920年〜)
熊本市生まれ。
熊本県立第一高等女学校、熊本師範学校専攻科(現熊本大学教育学部)を
卒業。昭和31年、第2回「角川短歌賞」を受賞。宮中歌会始詠進歌選者。
(魚愁)つきぬけて虚しき空と思ふとき燃え殻のごとき雪が落ち来る
  
鳥飼 滴水(1930年〜)
人吉市で育ちました。
熊本県立人吉中学校を卒業し、熊本工業専門学校(現熊本大学工学部)を
中退しました。そして、平成7年10月「空の掟」を発行。
(空の掟)闇扉に響き伝えて押し渡る風あり不眠のいち夜を籠る
  
石田比呂志(1930年〜)
福岡市で生まれ、現在熊本市秋津新町在住。
そして、「涙壺」や「九州の傘」などの作品集を発表。
(涙壺)頭上に北斗七星凍てつきて路面足下に凍結をせり
(九州の傘)灯籠のかの火袋の幽暗にゆく蜂ひとつ命吸われて
  
本田 良一(1940年〜)
玉名郡南関町宮尾5で生まれ育ちました。
南関高等学校、北九州大学外国語学中国語科を卒業。
「深紅」などの作品集を発表。
(深紅)火の国に五月のひかり照り澄めば陽炎いて見ゆ街のいらかの
 
阿木津英(1950年〜)
福岡市で生まれ、昭和50年5月、熊本に移住。
昭和59年「天の鴉片」を出版し、「宇宙舞踏」を発行。
(天の鴉)鷹の爪火先はららに実りそむほかに何一つ実なる庭
(宇宙舞踏)黄金の洞うがちたる西の空もとめて足は歩出でつも
  
正木ゆう子(1952年〜)
熊本市生まれ、お茶の水女子大学卒業。現在さいたま市在住。
平成15年、句集「静かな水」で芸術選奨文部科学大臣賞。他に水晶体、悠HARUKAなど。
(静かな水)わたしにはわたしがついてゐる淑気
 
長谷川 櫂(1954年〜)
宇城市小川町育ち、東京大学法学部を卒業して
読売新聞記者。1992年俳句雑誌『古志』を創刊。
1990年に俳論集『俳句の宇宙』で第12回サントリ−学芸賞を受賞。
句集「虚空」で第54回読売文学賞を受賞。
(古志)深心蝶飛ぶは空気の燃えゆるなり
(虚空)龍の玉氷の上にこぼれけり
 

〈詩・評論〉

梅本武男(1915年〜)
球磨郡山江村で育ち、昭和63年8月10日に「歳月」を発行。
 
神瀬芳男(1916年〜)
球磨郡多良木町で育ち、昭和48年11月1日に「白い夜」を発行。
 
永畑道子(1930年〜)
熊本市で生まれ、熊本大学法文学部東洋史学科を卒業。
1981年「恋の華・白蓮事件」、1985年「華の乱」などの作品を次々と発表。熊本近代文学館長。
 

 
〔感想〕熊本にも文学者の方がいっぱいいらっしゃるんですね。文学にさほど関心もなく、最初は殆ど知らなかったのですが、調べていくうちに次々・・・。こんなにもいらっしゃるなんて、本当に驚きました。今後は関心を抱いて、作品も読んでみたいと考えています。これからも更に多くの文学者が熊本から生まれることを期待したいものです。そして熊本の自然、文化や風景を、文学作品を通じて、全国に紹介していただければと考えています。
 もっといらっしゃるかと思いますが、知り得た方だけを紹介しました.。文学に疎く、選択基準等、公平さに欠ける所もあるかも知れません。「こんな方もいらっしゃるよ!」と、お教えいただければ追加させていただきます。間違い等、お気付きの点、ご指導いただければ幸いです。(文責:Y.M 2004/07/15 最終更新:2008/09/19)

<制作>熊本国府高等学校パソコン同好会


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