「二百十日」は夏目漱石が第五高等学校の同僚「山川信次郎」との阿蘇登山(明治32年8月29日〜9月2日)を題材にして書かれたと言われています。以下、「二百十日」の一部を抜粋し紹介します。阿蘇内牧温泉の旅館での光景です。「
「姉さん、この人は肥(ふと)ってるだろう」 |
以上、夏目漱石の「二百十日」からの抜粋です。この後2人は阿蘇登山に向かいます。全編も長いものではありませんので、ぜひお読みください。
疑問?!・・・文中に出ている気になる会話 | ||
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文中、旅館のお姉さんが「はい」の意味で使う「ねえ」や「ねえい」が気になっています。そのような表現が熊本にあったのでしょうか、私自身、今までは使ったことがありません。ところが、国語大辞典(小学館)によると「人に呼ばれたときなど、応答するのに用いる語」として『ねい』があり、熊本でも使用例がある」ようです。熊本での使用例の出典として「菊池俗言考(永田直行 1854年)や「肥後方言と普通語・言葉改良の栞(玉名郡教育会 1907年)」が紹介されています。県立図書館で調べてみたところ、別の方言関係の書物にも「ねい」の使用例がありました。昔は使っていたのですね。佐賀弁の「ない」とも関連するのではないでしょうか。余談になりますが、韓国語(ハングル)で「はい」は「ネ」、関係ありそうですね。以前「熊本を含む北九州弁のイントネーションや発音の特徴は韓国語によく似ていると感じませんか?」というメールをいただいたこともありました。九州は地理的にも、京都や東京よりずーっと近いのですから、まんざら無関係ではないでしょう。これも興味深いテーマです。
更に、本文中に出てくる熊本弁(?)で「否定疑問に対する返事」(*)も気になっています。
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小説の楽しみ方もいろいろ、疑問に思ったことを調べてみるのも面白そうです。熊本を舞台とした小説等、もっと味わってみたいものです。熊本人でなければ気付かないことが発見できるかも知れません。更には、熊本の風景や人をどう表現しているのか、作者が熊本をどう思っていたのか、興味ありませんか。文学の味わい方としては邪道なのでしょうか。熊本にたっぷり浸っている私たち熊本人が気付かないことを指摘しているかも知れません。熊本再発見に繋がるのでは・・・。
<制作>熊本国府高等学校パソコン同好会