戦争と郵便 |
本サイトの熊本空襲を閲覧された姫野照正様から以下のようなメールを頂戴しました。 | |||||||||||||||||||||||||||||
初めて熊本国府高校のホームページを見せていただきました。すごいものを作っているのですね。感心しました。皆さん方とは50歳ほど隔たっており、現在の熊本の高校を余りよくは知りません。 さて、「平和を考える」の項目に、熊本空襲のことが書かれています。私自身は当時は熊本には住んでいなかったので、よくは知りませんが、切手収集をしていますので、郵便局について調べたことをお知らせします。
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熊本大空襲で焼失したまま、終戦翌日に郵便局廃止の告示がなされています。廃止されたまま戦後再建されていない郵便局、その中に熊本国府郵便局があります。本校正門近くに熊本国府二郵便局があるのですが、「国府二郵便局があって、国府郵便局や国府一郵便局がないのは何故?」 これは以前からの疑問でも。メールをいただいて「国府二郵便局」の「ニ」が2番目の意味なら、国府郵便局や国府「一」郵便局がないのは何とも不思議。一瞬「郵便局の名前にも戦争の影響が!」という新たなページができると考えてしまいました。 そこで、国府二郵便局や九州郵政局に問い合わせ、国府二郵便局の「ニ」は「2丁目」のことと知り(ちなみに郵便局名の数字は丁目をさすとのこと)少々落胆することにも。しかし、いただいたメールを基に「戦争と郵便」という新たなページを作成・発信することに。郵便局以外にも、お寺やお宮、橋、田畑、山など、たくさんの建造物や自然が破壊されたことでしょう。消え去ったものも多いはず。復元には多大な費用・労力・年月が必要です。戦争の愚かさを痛感するばかりです。 |
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その後郵送していただいた資料に、戦時中の郵便物検閲のことも。第一次大戦時や226事件等で秘密裏で行われた郵便物検閲や太平洋戦争突入直前の1941年(昭和16年)10月3日「臨時郵便物取締令」の公布・即日施行という歴史です。臨時郵便物取締令には、外国郵便での暗号、秘密インキ、盲人用点字、私製葉書、二重封筒等の禁止、差出人、受取人が日本人以外の場合、国籍を記載すること、差出人の住所氏名の明記等もあります。 右の写真は「本郵便物ハ差出人ノ居所及氏名ヲ詳細明瞭ニ記載無キニ付 臨時郵便取締令ニ基ク命令ニ違反スルヲ以っテ・・・」という警告の付箋(ふせん)が貼られたはがきで、姫野様からいただきました。 検閲の結果、取締令に違反する場合は警告の付箋が、検閲に合格したものは「検閲済」のスタンプが押されて配達されます。このような郵便物検閲は日本に限ったことではありません。諸外国でも他国からの郵便物の検閲を行っています。封書は開封して検閲されたそうです。他人の手紙を勝手に読むなんて・・・。参考資料:姫野様のレポートの一部に詳細が。 「戦争」という非常事態では、平和な日々を過ごしている私たちには想像できないことが起こるということを知りました。法律が公布され即日施行というのも驚きです。戦争は人々の生命ばかりか、平和時には当然のように守られるべきプライバシーや基本的人権さえ無視されるのですね。イラクをはじめ、今戦争状態にある国々の人々の不自由な生活が思いやられます。遠い他国のことと他人事では済まされません。同じ地球上のこと、いつ私たちに降りかかってくるか解りません。地球上から早く戦争をなくすよう、真剣に話し合い行動することが必要です。 |
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<後記>姫野様の綿密な調査研究には頭が下がるばかりです。貴重なご研究の一部を私どものページに利用させていただき、感謝申し上げます。メールをいただき、戦争と郵便というテーマを考え、戦争は戦闘地域での直接的な殺し合いだけでなく、国民の日常生活にも様々な影響を与えるものだということを痛感しました。ありがとうございました。今後ともご指導のほどよろしくお願い致します。(2003/12/03) | |||||||||||||||||||||||||||||
最終更新:2004/06/17 熊本国府高校PC同好会 |
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