どんな円でも,円周と直径の長さを測り,円周を直径で割ったら一定な値になります。この一定な値が円周率。円周率は3.141592653589793238462643383279・・・・・,どこまでもきりがない。無限に続くばかりか,次にどんな数が続くのか予測することができない不思議な値です。次に続く数を知るには,計算で求める以外にありません。それで,円周率のより正確な値を求めようと,昔から多くの人が挑戦しています。
古代ギリシャのアルキメデスは,円の内側と外側に接する2つの正多角形の周の長さの大小関係を利用して円周率の近似値を求めました。正多角形の角の数が多ければ多いほど,円周の長さが正確に求められ,円周率も正確な値に近づく。アルキメデスは正6角形からはじめ,ついには正96角形まで考えて,円周率の近似値を「223/71」と「22/7」の間とします。それでも,小数点以下2桁の正確度です。
正96角形は大変ですが,正6角形なら,中学校までに習った知識で簡単に求めることができますが,大した値(3)ではないですね。直接円周と直径を測っても求められますが,測定には誤差が生じる(誤差を少なくする為,大きな円を使ったり,回数を増やして平均を求めると誤差は小さくなる)ので,実測に頼らない計算を使った理由でしょうか。
その後,オランダのルドルフが正4611686018427387904角形から小数点以下35桁を求めたのが17世紀のはじめ。日本でも,和算で有名な関孝和が正131072角形から「3.14159653959より少し小さい」と求めています。ただ,正多角形からの挑戦は面倒。その後は様々な公式を用いる方法が考えられ,現在では公式とコンピュータを利用して,1兆2千億桁(2002年12月)まで求められています。気が遠くなりそうな桁数ですね。
ところで,数年前から小学校では円周率を「およそ3」として使ってもいいようになりました。発表されるや「3.14でなければ・・・」など,大きな論議が渦巻いたことも。「3」でも「3.14」でも,円周率の概数だという事を確認しておけば,小学生には計算しやすいほうがいいのかも知れません。面倒な計算を押し付け,数学嫌いを増やさない為には。
2009/03/11,アメリカの下院は3月14日を「円周率の日(National Pi Day)」とする法案を可決したとのこと。円周率を通じて、「数学を学ぶ魅力を伝える」ことを目指すものだそうです。円周率の近似値3.14から3月14日。もっと細かく3.14159・・・だから3月14日1時59分,夜中じゃ無理だから15時9分に一斉にイベントやっても楽しいな。もっと数学の魅力を訴えることが必要。アメリカって小粋ですね,日本でも・・・。
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