暇つぶしに
数学(?)に挑戦しよう!


曲尺(さしがね)利用に潜む数学! part2の解答

問題1
円の直径から円周の長さを知る方法を考えてみましょう。どんな目盛を刻めばいいのでしょうか?
 解答:直径を「円周率分の1で刻まれた目盛」(丸目という)を使って測ればよい。丸目で測った値は直径の円周率倍(直径×円周率)となっているので,その値が円周の長さになる。

 

問題2
曲尺を使って,掛け算ができるそうです。どのようにすればいいのでしょうか?
 解答; 2.5×3 を例に説明します。(三角形の相似を利用)
  1. 直線上に,AB=2.5cmをとる
  2. BC=1cm,BQ=3cmをとり,線分ACを引く
  3. 点Qを通り,線分ACと平行な直線を引き,ABの延長線との交点をPとする
  4. 線分PBの長さ(7.5cm)が求める値(7.5)
 2.5×3
理由:
 PQとACが平行だから △PBQと△ABCは相似となり,対応する線分の比が等しいので
 PB:AB=QB:CB よって x:2.5=3:1 だから 外項の積と内項の積が等しいから
 x=2.5×3 となって PB(x)の長さを測れば 積(2.5×3)が解る。

 

問題3
問題2の応用ですが,割り算はどうすればいいのでしょうか?
解答:(割り算は掛け算の逆)
   例えば,10÷2.5 を考える
  1. PB=10cm,AB=2.5cmとする線分を引く
  2. BC=1cmとし,上方向に直線を延長しておく
  3. 点Pを通り,線分ACと平行な直線を引き,BCの延長線との交点をQとする
  4. 線分BQの長さ(4cm)が求める値(4)
10÷2.5 を考える

 

問題4
正方形の板から,正八角形の板を造るにはどのようにすればいいでしょうか?
解答:
 正方形ABCDの一辺の長さを10cmとするとき,AD上の正八角形の頂点K,Lを見つけるには
 AL,DKの長さを,実際のルート2倍の目盛(曲尺の角目)で,5(実際は5のルート2倍の長さ)の点を,それぞれL,Kとする。
 他の辺においても同様にE,F,G,H,I,J,を見つける。
 この8点が正八角形の頂点となる。
正八角形の板を造る
理由:
 上図のように,一辺の長さが10cmの正方形において△AEKは直角二等辺三角形だから AK:KL:LD=1:ルート2:1よって AL=10×(1+ルート2)÷(2+ルート2)=5×ルート2
 すなわち,ALやKDは5cm(正方形の1辺の半分)のルート2倍の長さとなるので,
 正方形の一辺の半分の長さを角目で測ることによって,正八角形の各頂点を求めることができる。
 
問題5
横40cm,縦10cmの板を横に3等分するにはどうすればいいでしょうか?
解答:
1. DCの延長上にAE=45cmとなる点Eをとる。
2. AP=15cm,AQ=30cmとするP,Qをとる。
3. ABとDCの延長上にFG=45cmとなるFとGをとり,FR=15cm,FS=30cmとする点R,Sをとる。
4. PRとQSの延長線で切断すればよい。
板を3等分する
理由:
 三角形の相似や平行線と線分の比を使って説明できる。R,Sは求めなくてもP,Qだけでも可能だが,ABと平行な直線がより簡単に引ける。
 これを応用すれば,曲尺の裏目(表目の1.41421356・・・倍)の目盛だって簡単に引くける。
 

 曲尺は計算尺にもなったんです。今日ならまさに電卓ですね。デジタルの電卓より,アナログの曲尺のほうが,材木等を直接測る事ができて,作業もスムーズに運び,実用的だったかとも思います。大工さんたちの知恵には感心するばかりです。


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