古代から知られていた美しい比率
黄金比について
いかがでしたか,簡単でしょう。そこでこの作図を基に,黄金比すなわち黄金長方形の縦(短辺)と横(長辺)の比を求めてみましょう。右上の長方形で,縦(AB)の長さを
1として,横(BG)の長さ x を求めてみましょう。三平方の定理を利用します。 BC=CD=1,BE=EC=1/2,△ECDは直角三角形だから EG2=ED2=EC2+CD2=(1/2)2+12=5/4 よってEG=√5/2 だから x=BG=BE+EG=1/2+√5/2=(1+√5)/2 「富士 黄金比は 1:(1+√5)/2=1:1.6180339・・・ となります。 ちなみに,「1.6180339」の覚え方に「イチロウ |
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他にも,黄金長方形の定義のひとつに「長方形からその短辺を共有する正方形を切り取った残りの長方形と元の長方形が相似になる長方形」と言うのがあります。定義より,黄金長方形ABCDから,正方形ABEFを切り取った長方形FECDも黄金長方形,すなわち長方形ABCDと長方形ECDFは相似。この相似の関係からも黄金比を求めることができます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
縦(AB)の長さを 1,横(BC)の長さを x として方程式を作ってみましょう。 2つの長方形が相似だから AB:EC=BC:CD で EC=BC-BE=x-1 より 1:x-1=x:1 よって x(x-1)=1 これを整理して x2-x-1=0 この方程式を解いて xは正の数だから x=(1+√5)/2 =1.6180339・・・ |
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黄金比の求め方は他にもあるようです。調べてみて下さい。 黄金長方形の縦と横の比は 1:(1+√5)/2=1:1.6180339・・・ ところで 1:(1+√5)/2=2/(1+√5):1=(√5-1)/2:1=0.6180339・・・:1 よって「1:1.6180339・・・」と「0.6180339・・・:1」どっちも黄金比。 (1+√5)/2 と (√5-1)/2 の2つの値 (1+√5)/2-(√5-1)/2=1 で,小数点以下の数字はどこまでも同じ!計算式を比較すれば当たり前のことですが,面白いとは思いませんか。互いに逆数ですが,逆数との差が1になるのもこれだけ(x-1/x=1 より)です。 |
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ところで,自然界には黄金比が次々と出没するようです。ミツバチの群れにおける雄と雌の数を調べると,どのミツバチの巣ても,雌の数を雄の数で割れば,黄金比になるらしいとか。人体も「身長をへその高さで割ったら」「肩から指先までの長さを,肘から指先までの長さで割ったら」「腰の高さを,膝の高さで割ったら」,他にも「手の指,足の指,背骨・・・・」黄金比に繋がる数値が次々,もちろん個体差があり,全てが完全に一致するのではなく,近い値をとるということです。「黄金比になる場合が理想的体系!」とも。確か,ミロのビーナスは黄金比となっているとのこと,理想体型なんですね。自分の体型を測定すると・・・厳しいでしょうね。
ところで,隣り同士の2項の和が次の項となる「フィボナッチの数列」で,隣り同士の項の比が黄金比に近い値ということも興味深いことです。フィボナッチの数列と項の比は
黄金比や黄金長方形,何とも半端な数で美しい形,だからこそ意識の有無に関係なく,古代から多くの優れた建築・彫刻・絵画等にとり入れられたのでしょう。クフ王のピラミッド,ミロのビーナス,最後の晩餐,ノートルダム寺院,聖徳太子像,能面等々,例をあげれば尽きません。これらの作者が全て意図的に黄金比を使ったというよりも,デザインを追及していくうち,いつの間にか黄金比になっていたという場合もあるのではないでしょうか。どちらにしても,デジタルカメラやデジタルオーディオプレーヤー(DAP)など,最近流行の工業製品のデザインにも取り入れられています。右の表は,新書版,名刺,市販のデジタルカメラやデジタルオーディオプレーヤー(DAP),本校のホームページの画像の長辺と短辺の長さと比率です。長さの単位は画像以外はmm,画像はpixelです。ハイビジョンテレビの画面比も16:9で比率は1.77・・・,ほぼ黄金比。身のまわりにある長方形の縦横の比を調べてみるのも面白いかも知れません。
非感情的な側面が強調されることが多い「数」ですが,深層心理に関わる感覚や感情に強く訴えるものを持っています。数や数学は人間味に欠けると思われがちですが,意外と人間的というか情緒豊かな面もあるようです。毛嫌いせずに近づいてみましょう。きっと,数学の楽しさや面白さが見えてくるはずです。計算が苦手だったら,電卓を使えばいいんです。皆さん,気楽に数学を楽しみましょう! |
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