暇つぶしに
数学(?)にでも挑戦しよう!


何も,数が数学の全てではありませんが
数と数学は切り離せない関係にあることも事実です。
そこで,
「数について」のお話を幾つか紹介してみましょう。


 
◆<1.数えることから・・・・自然数>
 

羊の群れ 昔々ある国に,,ひとりの羊飼いがいました。
 彼の仕事は,毎朝羊をオリの中から離し,1日を草原で遊ばせ,夕方にはオリの中に連れ帰ってくることでした。
 ところで,羊飼いは困っていました。
 「毎夕全部の羊が帰って来ているのだろうか?」
 確かめるには,どうすればいいのでしょうか。
 皆さんだったら「簡単だよ。羊の数を数えておけば良いよ。」というところでしょうね。
 しかし,その国にはまだ,「数」という便利なものはありませんでした。
 「どうすればいいんでしょうか?」

 彼は手の指を利用しようとしました。
 羊が1頭出ていくごとに,右親指から順に1本ずつ折り曲げていくのです。
 右小指を折り曲げたら「5」,左親指で「6」,その後左小指までで「10」までは示すことができます。
 しかし,10を超えると,また困ってしまいました。
 足の指まで入れても,せいぜい20までしか数えられません。
 彼はいろいろ考えた末,いいアイデアを発見しました。
 それは小石と革袋を用いる方法でした。
 羊が出ていくごとに,小石を革袋に入れてゆき,帰ってくるごとに革袋の小石を取り出すのです。
 小石だったら,羊の数が多くても大丈夫です。
 まだ,皮袋に小石が残っているのなら,帰ってきていない羊がいるということです。
 探しに行けば良いわけです。

 この考え方は,羊と小石の「1:1対応」という数学の考え方に基づく方法です。
 しかし,人間が羊の数と小石の数とを対応させることができるようになるまでには,何万年という時間がかかりました。
 そのような過程を経て,自然数という「数」を発見していくのです。
 自然数は数を数えることから発見された,人間が最初に造り出した数です。
 (「自然数は神が与えてくれた唯一の数で,それ以外は全て人間が造りあげた数」との言葉も)

 
◆<2.位取り法>
 

  先ほどの羊飼いのその後です。
 帰ってくる羊の数の確認には成功したのですが,また悩みはじめました。
 小さな「数」を表すのには,指で表現できますが,より大きな「数」を表現するには,袋の小石を示すだけでは不自由です。
 「他に,何か良い方法はないのか?」ということです。

黄袋に3個、赤袋に9個で39 新たなアイデアは,皮袋の数を増やすことでした。
 赤い袋に小石を10(左小指)入れるのと黄色い袋に小石を1(右親指)入れるのを同数だと考えるのです。
 例えば,黄色に小石が3(右中指3),赤色に小石が9(左薬指)入れておけば,39を示すことになるのです。
 赤い袋が1の位を,黄色い袋が10の位を示すのです。 この方法だと,袋の種類を増やすことによって,より大きな数を表すことができます。
 すばらしい発見だよね! 位取り法の発見です。このように手の指10本を基に生まれたのが,私たちが現在一般的に利用している10進位取り法(10進法)です。
 ちなみに,英語のcalculate(計算する)の語源はラテン語のcalculus(小石)だそうです。calx(石灰石,石)に小さいという意味を添える接尾語を付けたものとのことです。やはり小石と数の計算,関係は深いんですね。

 手足の20本を基に位取り法を完成させれば,20進法も生まれます。英語に20を表すscore(Abraham Lincoln のGettysburg の演説の文頭に「Fore score and seven years ago 」の例も)という単語があったりするのも,20進法を利用していた名残りでしょう。
 日本でも20日のことを「はつか」,20才のことを「はたち」といったりするのも,20進法の名残(真実かどうかは?)かも知れません。半紙の枚数の単位,1帖は20枚のようです。(ただし,海苔の1帖は10枚)

 足の指は折り曲げることが出きない(?)から,足は左右2本と考えて,手指と合わせ,12を基に12進法が生まれます。
 1ダースは12,1グロースは12ダースなどですね。
 「12」は約数の数が多く物を分けるときには便利ですので,鉛筆やビールなどでは今でも使われています。
 英語の数を,10進法で考えれば,11や12はone-teen,two-teenとなるべきでしょうが,eleven,twelveなどの単語が残っているのも,きっと12進法の名残ではないでしょうか。イギリスでは,1971年まで,お金の単位も20進法や12進法を利用していました。(1971年2月15日以前は,1ポンド=20シリング,1シリング=12ペンス)

 また,5000年程昔の,チグリス・ユーフラテス川のほとりのことです。シュメール人とアッカド人が交易を始めました。このとき,シュメール人が使っていた重さの単位「ミナ」は,アッカド人の単位「シュケール」のちょうど60倍だったそうです。すなわち,60シュケール=1ミナ,これが60進法のルーツとか。60は10,12,20の最小公倍数でもあり,広い地域の交流に便利なので,各地にも広まっていったのではないでしょうか。今でも角度や時間の単位に60進法が使われています。

 
 

1、3、6・・・三角数、1,4,9・・・四角数 「ピタゴラス」って知っていますね。
 紀元前6世紀のギリシャ時代の人です。
 ピタゴラスの定理(3平方の定理)で有名ですね。
 ピタゴラスは「数は万物の根源である」と主張していただけあって,色々な数を考えていました。

 三角数(6=1+2+3 などの自然数の和で,右の図のように正三角形の形に表すことができる数)とか,
 四角数(9=1+3+5 などの奇数の和で,右の図のように正四角形に表すことができる数)とか,
 完全数(6=1+2+3)というように,その数(6)の約数(その数6を除いた1,2,3の和に等しい数)などです。
 この三角数や四角数は高校数学Ⅰにも出てきますね。
 完全数というのは,その後長い間,神秘的な数とされてきました。
 例えば,神様が6日間で世界を創造された(旧約聖書)のも,6が完全数だからと考えたのです。
 では,6の次の完全数は何でしょうか?
 28です。
 そこで「月が地球を一周するのが28日というのも偶然ではないのだ!」と考えていたようです。もちろん偶然なんでしょうが。

 ピタゴラスはまた,一つ一つの数にも意味を持たせていました。
 例えば,2は女性で,3は男性,2+3=5 よって5は結婚。2×3=6 だから6は愛情などです。
 ピタゴラスさんって,面白い(?)人だったのですね。彼は宗教人的な一面もあったようで,ピタゴラス学派は教育機関でもあり,宗教団体でもあったとも言われており,様々な戒律があったそうです。
 ピタゴラス以外にも,奇数は神聖な数だから男性の数,偶数は世俗的な数だから女性の数と見なされた時代もありました。(何と女性蔑視の勝手な考え方でしょうね)

 
   なお,日本や中国を含め世界中至るところで,吉とか不吉な数が昔からいろいろ考えられています。迷信と知りつつも,その背景を含めて調べてみることも,面白いかも知れませんね。(変な迷信には惑わされないようにしましょう!)

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