本ページ「知っていますか?著作権」は、本校図書館の湯通堂先生が発行されている「図書館通信」に、2005年10月から連載されたものです。著作権について、やさしく解かりやすく説明しておられますので、許可をいただき、ここに紹介致します。
その1(平成17年10月7日)
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図書館に限らず、さまざまな分野で著作権が問題視されています。生徒のみなさんには聞きなれない言葉かもしれません。例えばAさんが本を書いたとします。Aさんによって書かれた本は、その全ての権利(売る権利、誰かに読ませる権利、誰かに翻訳させる権利など)はAさんにあるのです。BさんやCさんがAさんに黙って自分が書こうとする作品の中に取り入れることは禁止されています。この場合、Aさんの○○より引用したことを明記することによってクリアーされます。これは本に限らず音楽や美術工芸等にも同じことが言えます。
さて、みなさんが授業で「○○について調べなさい」という課題が出され、インターネットから情報を得たり、本を参考にして調べたとき約束事があります。それは上記しましたが「○○から引用」と誰の何を参考にしたのかを書くという約束事です。著作権は結構難しいけれど、絶対に守らないといけない問題です。次号以降少しずつお話していきますね。 |
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その2(平成17年11月7日)
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このシーズンは、あちらこちらで文化祭が行われています。本校も先日無事に終了しました。文化祭ではよく「映画の上映」が行われますよね。さて、その「映画上映」もっと詳しく言えば、レンタルビデオ屋さんでビデオを借りてきて、それを上映する。これが著作権に引っ掛るかどうか・・・・
著作権問題を考えるときに基準となるのが「著作権法」です。これによれば、営利を目的とせず、聴衆又は観衆から料金を受けない場合に限りOKだとしています(第38条第1項)。いかなる形(飲み物代など)であれ、お金をもらわないことが重要です!ただ、今後はどうなるか判りません。この著作権法はレンタルビデオが世の中に普及する以前に作られた法律です。今でこそ誰でも簡単に映画フィルムを手に入れること(レンタルや購入など)が出来ますが、以前は映画会社から有料でフィルムを借りるしかありませんでした。映画フィルムのレンタルは著作権者の重要な収入源でもあり、現在のような状況を全く想定していなかったのです。現在、映像関係などの団体は「第38条1項の改正」を要望しています。ここ数年、めまぐるしく動く社会情勢の中で、著作権法も改正せざるを得ない状況になってきています。これまでのように映画や音楽のフィルムやソフトが、簡単に手に入らなくなるかもしれません。また、文化祭での「映画上映」も複雑な手続きを経なければ出来なくなるかもしれません。 |
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その3(平成17年12月13日)
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今、一番新しいお話をしましょう。12/7にリリースされたKREVAのニューシングル「国民的行事」。聴いて、思わず唖然・・・それもそのはず、かの有名な神童“モーツァルト”の「アイネクライネナハトムジーク」がラップ風にアレンジされている!!そしてまた、その見事なこと☆ でも、ちょっと待てよ、これはアリ?世界中の誰もが“モーツァルト”の曲だと知っている「アイネクライネナハトムジーク」を、こうも大胆に・・・著作権法に触れないの?
→触れないのです(^^)v 著作権には原則的保護期間というものがあります。この保護期間は著作権者の死後50年で、その期限が切れます。そのため、モーツァルトが亡くなって214年が経つ今日、誰もが自由にアレンジすることも演奏することも出来るのです。仮にこの保護期間中だったとしても、その著作物の相続人がいなければ著作権は消滅しますし、また数人での著作物であれば、最後の一人が亡くなってからの50年ということになります。 もちろん、保護期間中でも著作権者に「使わせてください」と頼んで、OKが出たら使わせてもらえます。 |
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その4(平成18年3月3日)
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一昨年、著作権法改正法が施行され、第35条による著作権法の制限が大幅に拡大されました。この第35条の拡大は、教育活動を充実させ、授業に幅をもたせることが出来るようになりました。先生方が授業をされたり、また皆さんが授業を受ける際に大きく関わってくる35条について数回に亘ってお話してみましょう。
「学校その他の教育機関における複製等」について書かれているのが第35条です。この35条が摘要されるためには一定の条件を満たしていなければなりません。「組織的・継続的教育活動を営む教育機関」であり「営利を目的としない」ものであることが、その条件です。それではこれらの教育機関とはどこまでの範囲をいうのでしょうか。学校とはいわゆる幼稚園や小学校、中学校、それに現在皆さんが通っている高校また大学、専門学校、など文部科学省が教育機関として定めるところ、及びこれに準ずるところを指します。またこれらと同等の年間教育計画を有する社会教育の機関も含まれます。しかし、これまで小・中学校で通っていた塾や予備校、また先生方やお母さん方が通っているカルチャースクール、英会話塾などは同じ教育機関とは行っても営利を目的としているために摘要されません。あくまでも、営利を目的としない!というのが前提なのです。 (参考文献「学校その他の教育機関における所作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン」 著作権法第35条ガイドライン協議会) |
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その5(平成18年4月20日)
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前号に引き続き、複製、いわゆる本や雑誌、地図などのコピーついてお話しましょう。国語や社会の授業で先生から配られるプリントがありますよね。例えば、社会科のN先生がF2-3のクラスで「人類の進化」を詳しく説明されるために『ミッシング・リング』という本のどこか1ページをコピーされて配られたとします。F2-3は38名ですから、N先生は自分を入れて39枚しかコピーすることが出来ません。でもっ!S2-6(42名)に授業に行かれるT先生が「人類の進化」について授業されようとした時に、心優しいN先生が、『ミッシング・リング』の内容が素晴らしかったから・・・とS2-6+T先生分を合わせて43枚を一緒に、もしくはT先生の代わりにコピーしてあげることは著作権法上 許されていません。あくまでも、その授業に行かれる先生が「授業を受ける人数+自分の分」を自分でコピーして利用するというのが原則なのです。
しかし、同じように授業に使うからといっても商業科の検定用の問題集や参考書は「著作権者の利益を不当に害する」と考えられているため、コピーして使うことは原則ダメ!だとされています。これらは検定を受けるための勉強は、当然問題集を購入してするものだと想定されているからです。 (参考文献「学校その他の教育機関における所作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン」 著作権法第35条ガイドライン協議会) |
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その6(平成18年6月1日)
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さて、今回はどんなお話をしましょうか?前回、コピー出来る枚数がクラスの人数+担当の先生というお話をしましたので、今回はもっと具体的に、その量についてお話します。
小説や論文などをコピーするとします。例えば今話題の『ダヴィンチ・コード』をコピーする時(そんな人いないと思いますが・・・)、丸々一冊をコピーすることは× 半分まで・・・と決められています。また、例えば東野圭吾の『怪笑小説』は短編小説で「鬱積電車」他、8作品が入っています。もっと言えば、短編小説でおなじみの星新一の「未来いそっぷ」は長くても11ページ゙ほど。短ければわずか2ページ゙で終わる作品が詰め込まれています。例えば「表と裏」は、2ページ゙、しかも18行で終わります。さきほど半分しかコピーすることは出来ないと言いましたが、正確に言えば一冊の半分ではなく、一作品の半分しかコピーすることは出来ません。例え、わずか2ページ゙であろうとも、18行で終わろうとも、その半分しかコピーすることは出来ないのです。 また、みなさんの中にバンドを組んでいる人も多いと思いますが、練習するために楽譜をコピーしていませんか?ミスチルが好きな人が『名もなき詩』の楽譜を、B‘zが好きな人が『ゆるぎないひとつ』の楽譜をコピーしようとする時、これらの曲を一曲丸々コピーすること。実はこれは出来ないのです。一曲の半分と決められています。だったら練習になりませんよねぇ・・・それぞれが買ってください♪←そういうことです。もちろん、会社によって半分ではなく枚数が決められている場合もありますので(ゼンリン地図などのように)、確認が必要な場合もあります。 |
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その7(平成18年7月1日)
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今回の著作権のお話は、以前よりN先生が口を酸っぱくしておっしゃっているネット上での著作権です。インターネットは、それを利用したことがないという人のほうが少ないくらい、現代社会において市民権を得ています。回線を繋いでアクセスすれば、たいていの情報は手に入り、調べたいことの大半を調べることが出来る便利な時代になりました。しかし、ここでも重要なことは、「その情報をどこから手に入れたのか」を明確にしなければいけないということです。例えば、「熊本弁」について調べようとして本校のホームページにアクセスしたとします。アクセスするのは自由です。プリントアウトすることも出来ます。しかし、この調べたことを授業で発表したり、対外的に発表しようとする時に必要になるのが、どこから引用したか・・・ということです。そのときに役に立つのがプリントアウトした際に左下に表示されるホームページアドレスです。今回の場合
http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/hougen/index.html を必ず記載しなければなりません。このホームページアドレスを表示せずにプリントアウトしてしまう人がいるということです。表示していれば、出典が一目瞭然です。自分の資料に添付する際にもこれのこのアドレスが印字してあると、もちろん、本の場合も書名・著者名・出版者名・出版年を明示しなければなりません。 |
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パソコンが出回り始めた1980年代のはじめ,今では数千円のワープロソフトが10万円以上してました。その為,著作権を無視した不正コピーがはびこり,ソフトウェアーが売れず,価格も高いまま。コピー防止のプロテクトが施され,使い勝手も悪い状態。まさに不正コピーと価格と使い勝手の悪さのイタチゴッコ(?)不正コピーがなくなり販売数が増えれば,ソフトウェアーの価格も安くなり,利用者に還元されるというもの。苦労して作成したソフトが売れないなら,ソフト開発者だって居なくなります。ソフトがないならパソコンがあっても利用範囲が限定され,結局は皆んなが困まります。単なる一例を述べましたが,著作権を守ることが自分たちの利益にも繋がるということです。皆んなでで守ろう著作権!
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