みなさん、江津湖(えづこ)って知っていますか?
江津湖というのは、熊本市内にある、長さ2.5km、周囲6km、湖水面の面積約50ヘクタール、ひょうたん型をした湖(?)のことで、私たちの熊本国府高校から、歩いて10分足らずの所にあります。(加藤清正が治水事業の一環として造った人造湖とも)
江津湖の特色は、清らかな湧き水にあり、湧き水の量は、毎秒6〜10トンに達すると言われています。
江津湖の湧き水は、これまで多くの動植物を育てるとともに、私たちの生活を支えてきました。「水の都熊本」を象徴するものの1つです。路面電車の通りからこんなにも近く(歩いて数分)に、自然豊かな湖があるというのも熊本の誇りの一つです。
江津湖には、たくさんの野鳥や、魚、植物、昆虫や、水生の小動物が生息しており、シダ植物以上の高等植物だけでも、なんと、約400種類、野鳥は、カモ・サギ類の水鳥を中心に、120種類。電車通りから歩いて程近い所で、カワセミなどの珍しい野鳥と出会えます。こんな場所は日本でも珍しいとのこと。余り知られていない日本一かも知れません。知られていないからこそカワセミにとって天国なのかも知れません。左のカワセミの写真は奈良崎様よりご提供いただきましたが、撮影は簡単ではないようです。
魚類は、カゼトゲタナゴなどの稀種も含め、約30種。トンボ類は、32種類。水生の小動物も多くみられ、最近は、ナベブタムシや、グマガトビケラなどが県内で初めて確認されたほか、新種らしい小動物も記録されていています。
豊富で清らかな湧き水は、その水温が年間をとうして、18度前後と変化が少ないことや、まわりの気温変化を和らげる働きが他の湖よりも優れているため、北方や、南方に生息している鳥などが、数多くあつまってきています。
また、流水や、静水を併せ持つことも、そこに住む生物の種類を増やすとともに、江津湖の生物相に特徴を与えています。
以上のような事実から、江津湖は自然の博物館とよばれても過言ではないようです。
しかし、最近では都市の過密化に伴い、江津湖の自然も大きく変わってきています。
地下水の汲み上げや涵養域の減少のため、湧き水の量が減少し(九州東海大学都市工学科市川先生の調査によると、1992年からの10年間で水前寺・江津湖地域の湧水量は日量10万トンも減少しているとのこと)、また上流域開発による土砂や産業・生活排水の流出、ゴミ投棄などのために、昔の面影は急速に失われつつあるのです。
しかし、このような中でも、昔の江津湖に戻そうと、市民運動も芽ばえ、その輪は、どんどん広がってきており、そのおかげで、年々湖はきれいになってきています。
この先、熊本市が、将来にわたって「緑と水にかがやく明るい自然が豊かな都市」であり続けるかどうか、それは江津湖をいつまでもきれいに保てるかにかかってきているともいえるでしょう。
本校でも、一斉美化の日に、全学年がそれぞれ分担して、江津湖を含めた周辺地域の美化活動に精を出し、自然環境愛護の精神に接しております。