卒業生に聴く会より

平成17年6月の卒業生に聴く会で、講師を務められた
OGのSさんに、お話の下書きを頂き、ここに紹介させていただきます。


継続は力、毎日続ける、努力すれば上達する、仕事も同じ 始めまして、中央印刷紙工株式会社に勤めていますSです。よろしくお願いします。今回、後輩の皆さんに「会社に勤めるにあたって、何か話をして欲しい」と依頼を受け、ここに立ちました。うまく話せる自信はありませんが、私の高校生時代から就職、現在の勤務等について少ししゃべらせていただこうと思います。
 私がこの学校に通っていたのは、熊本国府高校がまだ熊本女子商業高校と言われていた時代です。私事ですが、小学生の時より珠算をしていましたので、入学と同時に珠算部に入部しました。このとき指導されていた先生の1人が〇〇先生で、先生をはじめ、多くの先生方から就職してからも役立つ様々な指導を受けたと思っています。

 役立った例のひとつをあげてみます。普段の生活からも感じていたことですが、言葉にすると「継続は力なり」です。クラブ活動をやっている方なら判ると思います。1日休むとその勘を取り戻すのに2日程度かかります。しかし、毎日やっていると、時にはスランプに陥ることもありますが、上達します。私の高校時代、昔のことで記憶もあいまいですが、確か平日は授業が終わった4時半頃から6時半過ぎまで、土曜日も授業の後、昼1時から5時まで、日曜日は朝9時から夕方4時までと、そろばん漬けの毎日でした。きついから休みたい、と思う日も多々ありましたが、部活だけはきっちりやり通しました。おかげで入学時2級だった珠算が、卒業時には段位を取得するまでになりました。
 毎日続ける・努力すれば上達する。仕事も同じです。向いていないと思っても、挫折しそうになっても、もうひと頑張りしてみてください。一山超えたとき、自分にはこの仕事向いていないかな?と思っていた仕事が、とっても魅力的になっていることも。苦労した仕事を完成させた瞬間の喜び、充実感と言ったら、言葉に表せません。この瞬間、自分の仕事に対する誇りが芽生え、遣り甲斐というものが判るはずです。

 役立った指導その2は「挨拶」です。廊下ですれ違うとき、教室に入られるときなど…。今もそうでしょうが、先生方は率先して挨拶をされていました。挨拶と言うのはコミュニケーションの基本。「おはようございます」「有難うございます」「お疲れ様です」「失礼します」等など…こんな言葉を交わすことにより、話のきっかけを作る事も出来ます。相手に良い印象を与える事も出来ます。これが大切です。また「身だしなみ」も大切です。今はファッションも多様化して、皆さんも色々な私服をお持ちだと思いますが、TPOを大切にしてください。皆さんも、海等のリゾート地に行くときと結婚式などに出席するときの服装は違うでしょう。それと同じで、仕事に行くときの服装と遊びに行くときの服装は違います。

 人の印象は第一印象である程度決まります。場違いな格好・態度は周りに引かれてしまいます。職場には、学校と違って、さまざまな年齢の人達がいます。ご両親の年齢どころか、おじいさん・おばあさんの年齢の人達がいるところも少なくありません。就職してすぐと言うのは、先輩社員たちが一番注目しているときです。この時期にきちんと挨拶が出来、服装もその場にあっていると好印象を持たれます。個性がないと思われる方もいると思いますが、会社は仕事をするところです。
 仕事をする、遊ぶ、きちんと切りかえることも大切だと思います。会社に溶け込む事が出来、皆に自分と言うものを認められると、会社が非常に心地よい空間になります。これは自分の居場所を確立するのに非常に役に立ちます。私も入社当時、仕事はわからないけど、挨拶だけでもきちんとして「自分を早く覚えて貰おう」と、率先して挨拶をしました。おかげで、今でも先輩の方に「君は入ったとき良く挨拶していたのが印象深かったよ」と言われることがあります。

 仕事と言うのは大体において様々な部署が分担して作業をしています。私の勤めている会社も「印刷事業部」「段ボール事業部」「営業部」「総務・経理部」と分かれ、それぞれの部内も、また事細かく分かれています。これらをスムーズに働かせるには、人間関係を大切にすること、すなわち先程言いましたコミュニケーションを大事にすることだと思います。
 ある会社の社長さんのお話です。『自分の会社の面接は座敷で行っている。時には室内に入った時点で、退室を願うこともある。何故ならば、靴を脱いで室に入る、と言う行為一つをとっても、その人が、きちんと躾がなされているかどうか、礼儀をわきまえているかが解かるからだ。会社に入ってから躾までしなくてはならないのは時間の無駄!』と。
 会社という所は、収益をあげなければなりません。だから非常にシビアなところが多々あります。この社長さんの意見も、無駄は極力省きたい、働いている人達が気持ち良く働ける場にしたい。そのためにもスムーズに会社に溶け込めるような、また即戦力になるような、社員を求めいている、ということの現れだと思います。
 最近は、見知らぬ人に挨拶したりすることを躊躇したくなるような事件も多くなった悲しい時代ですが、せめてご両親・先生・友人・先輩・後輩などの知人の方たちには、気持ち良い挨拶を交わすようにしてください。頭で「こうすれば良い」とか「自分は知っているから、できるだろう」だけではだめです。自然に「出来る人間」になってください。そのためには普段から率先して実行していくことが大切です。

報告書や提案書等々、文章を書くことは日常茶飯事 基礎学力をきちんと身につけて、社会に出ましょう。会社に入って、きちんと勉強しておけば良かったと、思うことが多々あります。会社に入れば、上司への報告書やユーザー(お客様)への提案書等々、文章を書くことは日常茶飯事。何が言いたいのか解からない文章、きちんと意見が言えない、文字や数字が間違っている…では、折角の良い企画や提案も台無しです。
 誰が見ても判りやすく、誤字のない文章、見やすい文字、正確なグラフ、数値、社会情勢に沿った提案・企画…。これらを満たすには、やはり基礎となる学力・知識が必要です。自分自身を深めるためにもきちんと日々の授業を受け、新聞や本を読み、興味を持って何事にも対応の出来る人を目指してください。
 今の企業はどこも長引く不況で、社員ともども必死に経費を押さえたり、新しいアイデアを出したりして、倒産しないよう必死でがんばっています。そういう現状で、なかなか新人教育が行き届かないのも現実です。だからこそ、今のうちに高校生の貴方たちにも、当たり前のことが当たり前に出来るようになっていて欲しいのです。

 最後にもう一つ。これから先、様々な壁にぶつかるときがくると思います。その時は一生懸命悩んでください。そうすれば、その結果はどうであれ、自分自身は後悔しないはず。
 皆さんには、まだまだ限りない沢山の可能性があります。いろんな事に興味を持って、チャレンジしてください。
 本日は拙い話を聞いていただき、有難うございました。(2005/06/21)


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