「利息」を考える ・・・・・ 賢い消費者になろう!


借金地獄に陥らないために 先日(2007/02/06)、体育館で今年卒業する3年生対象の「消費者教育講座」がありました。熊本県消費生活センターから消費生活アドバイザーの方が来られ「マルチ商法や資格商法、キャッチセールス、デート商法などの悪質商法の被害にあわないためには?」「多重債務に陥らないためには?」等々のお話をされました。
 当日配られた資料を見ていると「サラ金(消費者金融)から100万円を借金して、毎月2万円を返済していくと、何年くらいで完済になると思いますか?」との質問を発見!そこには答はなく、ただ「1年~20年間の返済額は次のようになります」と、次のような計算式と数字が書かれていました。

1年間 2万円×12月× 1年=  24万円
5年間 2万円×12月× 5年= 120万円
10年間 2万円×12月×10年= 240万円
15年間 2万円×12月×15年= 360万円
20年間 2万円×12月×20年= 480万円

 この数字を見て「本当に20年以内には完済できるのか?」と、PC(パソコン)を使って確認することに。資料にあったように利息を年29.2%とし、借りた月の月末から返済することにしました。元金100万円にその月の利息を加えた元利合計から2万円を差し引いたのが翌月の借金残高「100万×(1+0.292÷12)-2万」円。以下、20年後まで計算しました。

1月後の借金 1,000,000×(1+0.292÷12)-20,000=  1,004,333 円
2月後の借金 1,004,333×(1+0.292÷12)-20,000= 1,008,772 円
3月後の借金 1,008,772×(1+0.292÷12)-20,000= 1,013,319 円
・・・ ・・・ ・・・
10年後の借金 3,934,586×(1+0.292÷12)-20,000= 4,010,328 円
20年後の借金 56,551,974×(1+0.292÷12)-20,000= 57,908,072 円

 上の表のように、毎月2万円ずつ返済していっても、借金は減らずに、増えてしまいます。2万円を払い続けた上、借金残高は増加し、20年後の借金残高が5800万円とは!(もちろん、これは仮定の話で、残高が増えていく返済計画は、現実には作成されません) そこで、年利29.2%で100万円を借り、返済期間を20年とした場合の毎月の返済額を計算すると、24,409円になります。20年間、月24,409円ずつ返せば返済完了です。24,409円×20×12=5,858,275円、6千万円近くも払うの!しかし、返済額が月4409円違うだけで、20年後に借金0円と借金5800万円の差!私の計算、間違ってはないでしょうね。少々心配?皆さん確認をお願いします。
 間違いでないとしたら、借金の返済計画、よく考えなければなりませんね。そこで、年利29.2%で100万円を借り、返済期間を2~20年とした場合の毎月の返済額と返済総額を計算(Excelの関数PMT利用)してみました。

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
月額 55,502 35,542 29,570 27,021 25,773 25,121 24,770 24,576 24,469 24,409
総額 1,332,044 1,706,025 2,129,064 2,593,990 3,092,737 3,617,463 4,161,298 4,718,676 5,285,360 5,858,275

借金するときはしっかり考えて 毎月55,502円ずつ返せば、2年で完済、返済総額は1,332,044円です。短期間で返すほうが得だというのは明らかです。ある先生の話「家を買ったとき、35年ローンで1100万円借り、毎月6万円以上も10年間払い続けたが元金は100万円程しか減ってなかった」。返済当初は利息分が返済額の大部分を占め、元金はほとんど減らないとのことです。参考までに、年利29.2%で100万円を借りて毎月24,409円ずつ返済した時の、1~240月目の元金と利息分を計算(Excelの関数PPMTとIPMT利用)しました。その一部を紹介します。

1 25 49 73 97 121 145 169 193 217 240
元金分 76 136 241 430 766 1,363 2,428 4,323 7,698 13,708 23,830
利息分 24,333 24,274 24,168 23,980 23,644 23,046 21,982 20,086 16,712 10,702 580

 最初の返済では元金は76円しか減りません。24,333円(99.7%)は利息分です。元金が半分以下になるのは212ヶ月(17年8ヶ月)後。借金する場合、利率や返済期間等、綿密な計画が必要なようです。

お金は大事だよ 借金の利率は「利息制限法」や「出資法」により上限が定められています。利息制限法では、10万円未満は20%、100万円未満は18%、それ以上は15%となっており、それを超えた利率は無効となっています。しかし「借主が強制でなく任意に利息を払う」「借入時と返済時に契約書や領収書を発行する」場合(みなし弁済という例外規定)、出資法の上限29.2%(グレーゾーン金利という)までは有効な利息となっています。利息制限法には罰則規定がなく(ただし、裁判で争えば業者が負けるとのこと)、出資法には、5年以下の懲役、または1千万円(法人の場合は最高1億円)以下という刑事罰があります。そのため多くの業者が利息制限法を越えた利率を設定しているそうです。しかし何ともおかしな話(法律改正の動きもあるとのこと)、これでいいのでしょうか。本ページで使った年利29.2%の根拠です。

 利息の計算は面倒です。昔は簡単には計算できず、金融業者のいいなりになってきた部分も多かったのではないでしょうか。しかし今では、面倒な計算もパソコンさえあれば簡単、大いに活用して賢い消費者になりたいものです。本ページを作成しての感想でした。
 以上、ただ思いついたまま書き綴ったもので、間違いもあるかと思います。お気付きの点等、教えいただければ幸いです。( 文責:N.R. 発信:2007/02/08 )

最終更新:2010/03/16


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