ガリバー旅行記の中の数学
ガリバーが小人国に行った時のこと覚えていますか。その中に「ガリバーは小人たちの1728人分の食べ物や飲み物を食べた」とあります。その料理を作るのに「300人もの料理人が必要だ」と書いてありました。
確か,小人たちはガリバーの12分の1だったということでした。私はこの本をはじめて読んだとき,どうも不思議でした。えらく大げさに書いてあるんだなと思っていました。
ところが,中学生になって相似な図形のところを勉強して,やっとそのことの意味が解ったのです。
「記述が大げさでもなく,でたらめでない」ことが。
数学の授業で,「相似な図形の面積比は長さの比の2乗に,体積比は3乗になる」ってことを勉強したでしょう。
小人とガリバーとの身長比が1:12だから,面積比は1:144で,体積比は1:1728だということですね。
ガリバーの胃袋は,小人たちの胃袋の1728倍もあるのですから,当然ですよね。小人たちの1728人分の料理が必要なのです。料理人も300人は必要でしょう。
ガリバー旅行記の作者はジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift)ですが,彼は数学が得意だったそうです。
だからこそ,数字を正確に書いたんですね。ガリバー旅行記の随所に,細かな数字の記述が出ています。
「ガリバーを運ぶための馬の数が1500頭」とか,「小人用の敷き布団150人分を縫い合わせて1つの敷き布団を作り,それを4枚重ねて敷き,ガリバーの敷き布団としたが,石の上に寝たようなごつごつした感じだった」とか,巨人の国での読書のとき,「自分の位置より3mほど離れて本を置いてもらい,1行を読むのに8歩から10歩も歩かなければならなかった」などです。
いかがですか,もう一度読んで見ませんか。相似比を知って読んだ時とは,感じ方も違ってくると思いますよ。
「不思議な国のアリス」という小説を知っていますか。
その作者ルイス・キャロル(1832~1898)は数学者(本名Charles
Lutwidge Dodgson)です。
それも数学の1分野である「論理学」の大家でした。
アリスの中に,次々に出てくる変な言葉,小学校時代初めて読んだ時は難しくって,頭が変になりそうでしたが,論理的な言い回しだったんですね。
なお,日本語に翻訳されたため,ますます解りにくくなった部分もありますので,いつの日か「英文」の不思議な国のアリスを読破してみませんか。
原文のほうが,より興味深い内容だと思います。
なお,「鏡の国のアリス」のほうは,まさに論理学そのものを題材としているのかも知れません。
そのほかにも,SFや推理小説などを中心に,数学的な考え方や,数学がよく出てきます。小説を読む場合の興味が新たに増えるかも知れません。
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