暇つぶしに
数学(?)に挑戦しよう!


負の数について調べた
普通科3年の前田さんのレポートを紹介します。


負の数について

●負の数とは●
 文明が高くなると,どんどんと「大きな数」や「小さな数」が必要となります。昔は,1より小さい数は,すべて「分数」で表されていたのですが,1585年に『シモン・ステビン』が現在の「小数」という考えを提案しました。小数によって,0より大きい「微小な数」を繊細に表現できるようになりました。
「5から3は引くことが出来ても,3から5は引くことが出来ない」で処理されていたのです。当然,3から10を引くこともできません。どちらも出来ないのですが,「出来なさ」の程度が違うのです。
 3冊の本があるとします。5人の人がやって来て,次は10人の人がやって来ました。1人に1冊ずつ配るとしたら,どちらも不足します。しかし,不足の程度が違うのです。5人来たときは2冊足りないし,10人来たときは7冊足りません。

 この「不足」を表現するために「-」という印をつけて表すと,
  3-5=-2
  3-10=-7 
と書けます。

 長い時間が必要でしたが,これは便利だということで,次第にこのような数が一般的に認められるようになってきました。そして,『負の数』と呼ばれるようになりました。

 3人来た場合は,本は1冊も残りません。このことを「0」という数字で表して,
  3-3=0 と書けます。

 この「0」を基準にすると,負の数はそれより小さい数となります。今までごく普通に使ってきた数は0より大きい数となります。そして,負の数に対抗して,『正の数』と呼びます。


●負の数の入った「たし算」と「ひき算」●
 「十」,「一」は数直線上で,0より右,左という意味以外に,たし算,ひき算という意味があります。□+3とは□をスタート点として,右へ3単位進む,□-3は□をスタート点として左へ3単位進むという意味です。
 右へ進む,左へ進むという動きがたし算,ひき算ということになります。
●3より5大きい数は?●
 式で書くと「3+5」となり,もっと詳しく書くと,「0+3+5」となり,数直線上では,基準となる「0」からスタートして,右へ3単位,さらに右へ5単位進みます。
●3より5小さい数は?●
 式で書くと「3-5」となり,詳しく書くと「0+3-5」となり,数直線上では,0から右へ3単位,さらにその場所から左へ5単位進みます。といういことで「-2」になります。
●3よりー5大きい数は?●
 -5大きいという言い方は不自然です。「+」,「-」にはちょうど正反対のことを表します。「-5大きい」とは「5大きい」の反対という意味なので「5小さい」ということなのです。すると,
3より-5大きい=3より5小さい
となり,「3-5」のことなのです。3より□大きいとは,3+□のことなので,3より-5大きいをそのまま式に表すと,
「3+(-5)」となります。つまり,
「3+(-5)=3-5」ということなのです。
●3より-5小さい数は?●
 式にすると,「3-(-5)」となります。「-5小さい」を普通の言い方にすると,「3より5大きい数は」となるので,「3+5」のことなのです。つまり,
「3-(-5)=3+5」ということなのです。

※+(+),-(+)の部分は,いつも「+」,「-」になります。これは次の2つの約束をしておくのと同じです。

約束1

 ●+□とは,●よりも□大きいこと。
 ●-□とは,●よりも□小さいこと。
 (●がない時又は考えないときは●を0と考えます)

このように約束しておくと,次の(イ),(ロ),(ハ),(ニ)は
(イ) ●+(+3) ●より(+3)大きい
(ロ) ●+(-3) ●より(-3)大きい
(ハ) ●-(+3) ●より(+3)小さい
(ニ) ●-(-3) ●より(-3)小さい

となります。

ここで,次の約束をします。

約束2  約束1の表現に直して,さらに数字に「+」,「-」がついている時は,その「+」,「-」をとり,「大きい」とか,「小さい」という表現をします。
 「+」がついている時はそのまま(肯定)で,「-」がついている時は反対(否定)の表現にします。
すると,先ほどの(イ),(ロ),(ハ),(ニ)は
(イ) ●+(+3) ●より3大きい
(ロ) ●+(-3) ●より3小さい
(ハ) ●-(+3) ●より3小さい
(ニ) ●-(-3) ●より3大きい

となります。

(+3)-(+5)だと最初の(+3)は0より(+3)大きい。つまり,3大きいことで,後ろの-(+5)は+3より(+5)小さい。つまり,(+3)より5小さいことです。 これを簡単に書くと,「3-5」のことで,数直線上で説明すると,

(+3)-(+5)

 0から出発して「右へ3」,さらにその場所から「左へ5」進んだところなのです。

 今までのところをまとめてみると,
規則 +(+●)→+●
+(-●)→-●
-(+●)→-●
-(-●)→+●

同符号の場合は「+」,異符号の場合は「-」となるのです。

(感想)  普段,何も気にせずに計算していますが,今回この様なレポートを書き,よく考えてみると,1つ1つの事にきちんとした意味合いがあるんだなと思いました。
 大野栄一さん(作者)は「+」,「-」の計算の規則を,
『プラプラのプラ,プラマイのマイ,マイプラのマイ,マイマイのプラ』
というふうに,自分で考えて作ったそうです。このように,数学を楽しんで考えたり,覚え方を工夫するのも大切だと思いました。

作成:パソコン同好会(2001/04/13)


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