エイズ…私の経験から
アイザック チクワナ先生(ALT)
 

 
Do you know AIDS? 私は日本に来る前に、いろいろな病院で内科医、また外科医として働いてきました。
私が診た患者さんの多く(約90%)はHIVの陽性患者か、HIV/エイズ関係の病気を患っていました。私が病院で診た患者さんだけでなく私の家族、親戚、 友だち、同僚のなかにもHIV患者がいました。また今もそういう状態が続いています。

 現在のジンバブエの感染率は人口の約20%です。すなわちジンバブエで約300万人の人がこの病気にかかっていることになります。これは非常に高い割合ですから、なぜそんなに多いのか、あなたたちはその理由を知りたいだろうと思います。

 その主な理由は、『(自分の問題として考えない)態度』にあります。私の国ではエイズ教育は小学生のような早い時期から始まります。ですから、どうしたらエイズにかかるのか、どうしたらかからないのかということを誰でもよく知っています。
しかし、人々はエイズという病気は他人の問題で、自分たちには起こるはずがないという『(自分の問題として考えない)態度』をとっていました。売春婦とか、同姓愛者の人とか、貧しい人たちだけがエイズにかかるものと皆が考えていました。この『(自分の問題として考えない)態度』がエイズ感染の爆発的な増加をもたらしました。そしてエイズがだれにでも起こりえるものだとわかるまで、問題をゆっくりと拡大させてしまったのです。
エイズに境界線はありません。― それは金持ちでも、貧しい人でも、アフリカの人でも、アジアの人でも、ヨーロッパの人でも、子どもでも、大人でも、普通の人でも、有名な人でも、知的な職業の人でもかかる可能性があります。

 もう一つの問題はHIVに感染した人が発症するまでに、時には10年くらいかかかるということです。その間、感染者の外見は非常に健康的に見えます(ハンサムだったり、かっこよかったり、きれいだったり、かわいかったり)。しかし、ウイルスは彼らの体の中でどんどん繁殖し、彼らの性交渉相手にまで感染していくのです。これが原因で多くの人たち、特にあなた方のような若い人たちは気付かないままにエイズに感染してしまうのです。

 先進諸国の中で、日本はエイズ感染率が未だに上がっているたった一つの国です。その主な理由は、20年前にジンバブエの国民が抱えていたものとまさに同じものだと思います。エイズは、アフリカの問題だ、貧しい人々の問題だ、または大都会で起きている問題だという『(自分の問題として考えない)態度』がその原因なのです。
また、日本では世間で末期症状まで進んだエイズ患者を見ることがないので、多くの人たちはエイズが実際に自分達に、家族の誰かに、またパートナーに起こりうることだとは信じられないのです。

 世界中の10代の若者がそうであるように、中学生や高校生は思春期であり、多くの若者がホルモンの自然変化が原因で身体的に劇的な変化を体験する時期です。そしてまた、大人のようなことをしてみたいという思いが起き始める時期です。
私からあなた方へのアドバイスは、「いつも用心深く、そして自分自身の感情を上手にコントロールできるようになりなさい」ということです。HIVに感染するような状態に自分の身をおくことは慎まなければなりません。
一番良い方法は結婚するまで、性的交渉のある付き合いをしないことです。でも何らかの理由でそれを待てない人は、いつもコンドームのような予防手段を使うことです。でも、たとえコンドームを使っても100%安全ということではないということは、覚えておいてください。
HIVエイズの他にも、あなたがかかるかもしれないたくさんの性感染症があります。また望んでいない妊娠も起こりえます。
悲しいことに、これらすべてのことはあなたが自分の人生を十分に楽しむ機会を奪ってしまうことになります。

 以上、本校ALTのアイザック先生が校内保健学習会(平成20年10月28日)で話された内容の日本語訳です。先生は、日本語では正確に説明できないかも知れないと英語でお話されました。日本語への翻訳は大田黒先生です。両先生のご好意で、原文(英語)とともに紹介させていただきます。なお、日本語訳については、私たちの聞き違いや書き誤り等もあるかと思います。お気づきの点等、ご指導いただければ幸いです。(2008/11/11 熊本国府高等学校PC同好会)

もっと知りたかったらAct Against AIDSへ(エイズ啓発運動のWEB、外部サイト)


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