本校の緯度・経度

 

 熊本国府高校の玄関横にある標柱には「北緯32度47分02秒、東経130度43分50秒」とありますが、これは日本測地系 によるもので、世界測地系では「北緯32度47分14秒 、東経130度43分42秒 」、日本測地系からは「緯度は+12秒、経度は−8秒」だけ変化するようです。
 本校付近の国土地理院「2万5千分1地形図」。

日本測地系と世界測地系(国土地理院資料より抜粋)

 地球上の位置を経度・緯度で表わすための基準を、測地基準系(測地系)といい、地球の形に最も近い回転楕円体(ラグビーのボールのような形)で定義される。経度・緯度は、この回転楕円体(地球楕円体)上で表示される。そして全国各地の緯度経度を効率よく解るように、各地に目印となる基準点を多数定め、測量によって緯度・経度を求める。この基準点の緯度・経度の値を基準点成果という。

 日本ではこれまで、明治時代に5万分の1の地形図を作るために決定した回転楕円体(ベッセル楕円体)を位置の基準としていた。測地基準点成果も、この回転楕円体に基づく値が使用されてきた。この測地基準系を日本測地系という。
 一方、電波星を利用したVLBI(数十億光年の彼方にある電波星から届く電波を電波望遠鏡で受信して、数千kmもの長距離を数mmの高精度で測る技術)観測や人工衛星観測により、現代の科学的知識に基づいて設定された、世界共通に使える測地基準系を世界測地系という。

 明治時代の測量機器や測量技術による制約と過去100年間の日本列島の地殻変動の影響等で基準点網にひずみが生じている。例えば、東京から見て、札幌の位置が西へ約9m、福岡の位置が南へ約4mずれていることが分かっている。GPS(全地球測位システム)やGIS(地理情報システム)による位置情報の測定・利用技術が出現し、両技術に対応する基準として、世界測地系に基づいた、高精度な測地基準点成果及び地図成果が求められる。今後予想されるGPSやGISの本格的普及を考えれば、世界測地系に移行する必要がある。

 世界測地系を適用するため、平成13年6月12日に測量法の一部が改正され、平成13年6月20日に公布され、平成14年4月1日から施行された。また、測量法施行令の一部を改正する政令により、我が国の経度・緯度を世界測地系に変更するのに必要な数値が定められた。
 改正測量法の施行により、地方自治体等が行う測量や、地図・GIS用地図データベースの作成、法令・告示の経度・緯度表示などについては、世界測地系に基づくことになる。必要に応じて既存データの変換等が必要となる。地方自治体が持っているデータのすべてを一度に改正測量法の施行日に変換する必要はない。新たな測量計画や今後とも維持する必要のあるデータ等を考慮して、必要なものを計画的に順次変換すれば良い。


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