誰も、彼の秘密を知らない・・・ 原題「Nobody knows his secret...」 |
情報処理科3年 津山理央子さん |
1年前に、ブログを通じて1人の友達と出逢った。 趣味が合い、同じ年だと言う事から親近感が沸き、すぐに仲良くなれた。学校であったことなどを彼に相談したりしていた。 ある日、彼からメールが来ていた。 そのメールの内容は私にとって衝撃的なものだった。 彼は性同一性障害者だったのである。 つまり、外見は男の子だが、内面は男の子ではないということだ。 私は、とても驚いたと共に、彼のことを何も分かっていなかったのだと心が痛くなった。 しかし、彼を軽蔑するのではなく、自然に受け止めようという気持ちが強かった。私は彼を応援する事にした。 彼は心から喜んでくれた。 このとき、本当にお互いを信頼できる友達になれたと私も嬉しかった。 彼はネット上の友達全てに自分の本当に想いを打ち明けた。 その全ての人が彼を理解し、応援してくれた。 だが、彼は、学校の友達や家族には伝える事が出来ないという。 差別、軽蔑の目で見られるかもしれないからだ。 彼の気持ちがとてもよく分かった。だから、「伝えても大丈夫だ」という言葉をかけてあげられなかった。 最近、歌手やモデルで活躍する芸能人の中で性同一性障害と公表した人たちがいる。 視聴者は、きっと温かい目で彼らを見ているだろう。 しかし、「自然」にと言うのは無理な話だ。 想像してみてください。もし、あなたの家族の中に性同一障害で苦しんでいる人がいたなら。 あなたは受け止める覚悟が出来ていますか? また、自分が性同一性障害を持っていたとき周りの反応はどうあってほしいですか? 理解する事は簡単なことじゃないですか? 性同一性障害についての放送がしばしばおこわれてる今、たしかに、社会でも性同一性障害者を受け入れようとする姿勢が出てきた。しかし、実際のところ、理解を示してくれる人は少ないのだ。 私は、彼と出会って、この問題に直面し、彼と交流を深める度「病気ではなく自然な事」なのだと理解する事ができた。 私も彼と知り合う前までは、性同一性障害を抱えている人を、心のどこかで「軽蔑」していたところがあった。 しかし、彼と私たちは何も変わらない、同じなのだということを彼が教えてくれた。 皆さんは、性同一性障害の人と私たちの何が違うと思いますか? 何も変わらないじゃないですか?それは難しい事じゃないのです。 「障害も彼の個性」なのだ。 彼は他の人と同じような平穏な毎日を望んでいる。 皆さん。これだけは分かって下さい。 皆さんは、個性も生き方も考え方も、顔も何もかも違うのです。 |
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感想: このスピーチは、性同一性障害を持つ私の大切な友達が、周りの偏見の目に苦しんでいることを知って、少しでも多くの人に性同一障害について、理解して欲しいと思い、書きました。 日本語文からの作成で、間に合うかという時点でかなり不安でしたが、 最後まで諦めずに一生懸命頑張る事ができました。 本番でも、彼の事も思い、聞いてくださる方に自分の気持ちをちゃんと伝える事ができ、とても満足しています。 結果は優秀賞で、東京で行われる決勝には進めませんでしたが、3年間英語スピーチコンテストに出場してきた中で一番心に残るものでした。 更には、練習に立ちあってくださった英語科の先生方にも深く感謝しています。 本当にありがとうございました。(津山理央子:2008/11/10) |
全国商業高校英語スピーチコンテストの熊本県大会で優秀賞を獲得した津山さん、自分の思いをより多くの人に知ってもらいたいと、日本語訳と感想を添えて投稿してくれました。英文のスピーチ原稿とともに、ここに紹介させていただきます。(作成:2008/11/12)