1997年春に地球に接近したヘール・ボップ彗星の特集です。ヘール・ボップ彗星はご存知の通り、観測史上最大級という、超巨大彗星でした。
彗星といえば1986年のハレー彗星を思い浮かべる人が多いと思います。ハレー彗星は80年(?)ぐらいの周期で太陽に接近しますが、ヘールボップ彗星の太陽回帰の周期は桁違いに長く、数千年という単位です。前回の太陽回帰が4300年前、そして次回の回帰は少し短くなって2500年後です。
そもそも彗星という天体は、太陽系の外側にあるカイパーペルトとよばれる無数の小天体が帯状に連なっているところからやって来ると考えられています。小天体の1つが何らかの影響で太陽の引力にとらえられ、長い太陽系の旅に出発するのです。太陽に近づくにつれ、「汚れた雪だるま」である彗星からは、膨大なチリや水蒸気やガスが放出されます。これが彗星の「尾」です。
彗星の尾には2種類あって、1つは「ダストの尾」とよばれるものです。太陽の活動によって彗星の核(本体)からチリが放出されます。これが白っぽい、ややカーブしたダストの尾になるわけです。もうひとつは「イオンの尾」。太陽からの磁力によって電気を帯びた尾で、太陽の正反対方向に青くまっすぐ伸びます。また、今回のヘール・ボップ彗星の接近によって、彗星に第3の「ナトリウムの尾」があることが発見されました。
|