土星食  西日本 2002年1月25日未明

2002年1月25日の未明、西日本方面で土星食が見られました。
熊本で観測した、作者の土星食の写真を紹介します。


月と土星

土星が月の背後から現れた直後の写真です。
月と土星の見かけの大きさの違いがよくわかります。
土星の環は今が一番大きく開いているので、
パッと見た感じでは楕円形に見えています。

 月の後ろに惑星が隠される現象を「惑星食」といいます。
 この惑星食には、金星食、火星食、木星食、土星食などがあります。今回見られた「土星食」では、何しろ環(わっか)を持つ土星が欠けていく様子を見られるので、神秘的です。なお、惑星食には周期性があり、2001年〜2002年は木星食と土星食の当たり年です。1月、2月、3月と続けて日本で木星食や土星食が見られますが、見られる地域が限られます。次回は2002年3月20日に北日本のみで再び土星食が見られます。
● 前回、1997年10月16日の土星食の写真はこちらにあります。
今回の土星食と見比べてみましょう。

土星食 写真紹介

月と土星が近づき、「食」されていく様子をデジカメで撮りました。
ちなみに、動いているのは土星ではなく、月のほうです。



メモ: 月と土星は明るさの差がありすぎるため、両方を写すとなるとどうしても月は真っ白に写ってしまいます。

0時: 月と土星が近づいていく

半月がやや膨らんだような月(月齢11)と、0等星の輝きを放つ土星とがだんだん近づいてきています。月のすぐそばに土星が輝く様子は、肉眼でもはっきり見えました。月はこのまま画面向かって左に進み、やがて土星を隠します。




メモ: 青い線で示したように、月はどんな形のときでも常にまん丸の形のままです。太陽光が当たらない部分があるために、三日月になったり半月になったりと形を変えているように見えるのです。

01時44分: あと5分で土星は月の背後に隠れる!

土星食直前の月と土星の写真です。土星は間もなく月の夜側の輪郭と接触し、姿を消していきます。なお、判りやすいように月の夜側の輪郭を書き込んでいます。土星食の魅力は、土星が月の夜側に「潜入」する時に見られる、「欠けた土星」が見られることなのですが、慌てていて「欠けた土星」の撮影には失敗しました。




メモ: 地球から土星までの距離は計り知れないほど遠いですが、月までの距離はわずか地球の赤道10周分ほどしかないため、同じ日本の中で見ると月が見える位置はわずかに違ってきます。このため、今回の土星食は、関東より北の地域では月に土星は隠されず、関東より西の地域のみで月と土星が重なり合い、土星食を見る事ができたわけです。

02時38分: 月の背後から土星が現れた!

熊本では1時間にわたり、土星は月のうしろに隠されていました。そして02時31分、今度は月の昼側の輪郭からジワーッと顔を出した土星。望遠鏡で見ていると、月の輝きが土星の弱い光をかき消すほど眩しかったですが、土星の環(わっか)が月の世界の地平線から昇ってくるように見える光景は神秘的でした。土星は1分ほどかけて月の陰から完全な姿を戻しました。

左の写真では月と土星がもう大分離れていますが、環のある美しい土星と巨大な月とのツーショットが神秘的です。


熊本での土星食データ (2002. 1.25)
月齢 11.1
01:49 潜入開始 (土星A環、暗縁接触)
02:31 出現開始 (土星A環、明縁接触)
 

土星食 観測風景
20cm反射望遠鏡で低空の月を捉える。

本来なら望遠鏡は外に出して観測するのが基本ですが、今回の土星食は月が西の空低い位置にあったため、自宅である集合住宅の部屋の北窓からとらえる事ができました。落下防止用の柵ごしでも意外と見る事ができました。