しし座流星雨 3  (2001.11.19未明)

しし座流星雨 2001.11.19未明

2001年 しし座流星雨 (2001.11.19未明)
大火球、連発・同時出現、バースト出現の記録

 2001年11月19日未明。しし座流星群が大出現し、絶え間なく流星が流れ続ける「流星雨」となりました。

 この夜に降り注いだ流星の総数は、何千個・何万個にも上ることでしょう。数え切れないほど無数の流星が現れたのですから、注目すべき特異な流星も数多く現れました。空一面を明るく照らすような、ひときわ明るい流星(火球)や、大量の流星が同時に現れるバースト出現などです。

以下は、私が記録した2001年11月19日未明の「大火球」・「バースト出現」の時刻と特徴です。観測地は熊本県久木野村。よって、九州中部上空に現れた流星の記録になります。流星を観測されている方の参考にでもなれば幸いです。時刻はJST。




しし座流星群 (2001.11.19)
大火球の出現記録


0116 永続痕が残った。
0143 下を向いていたが、辺りが稲光のように光った!
0221 地上が光った。
0222 北斗七星。永続痕が残った。
0250分頃 空一面、青く光った。
0350 シリウスのすぐ近く。永続痕が残った。
0407 空がピカピカッと青く光る。
0411 「眩しい!」と感じたほど、とても明るかった。−10等級?
0414 北斗七星付近に出現。永続痕が残った。先に出現した永続痕と隣り合う。
永続痕が2つ並ぶという、珍しい光景が見られた。

※04時台・05時台は非常にたくさんの火球が出現したのですが、04:14の火球を最後に記録が途切れています。

 (観測地:熊本)



し座流星群 (2001.11.19)
複数同時出現、特異流星など


0151 4連続
0200
00-30秒の間
バースト出現! それまで流星出現の間隔が10秒おきぐらいだったのが、急に1秒おきぐらいになる! 「流星雨が始まった!」と感じた瞬間だった。
0208 バースト出現! 北の方角。明るい流星が1つ流れた後、誘発的にたくさん固まって出現!
0211 再発光(?)流星 直線状に3つ続けて流れた。発光・消滅を3回繰り返した”特異”流星の可能性がある。
0227 7〜8個、同時 北斗七星。7〜8個がほぼ同時に出現。
0229 5〜6個、同時 放射点を中心にして、四方に広がるように同時出現!
0235 絶え間なく流れる! 一時的に出現頻度が上がり、常に流星が流れ続けている状態に。
0241 5〜6個、同時
0247 約10個、同時! 西空。
 (観測地:熊本)
2001年11月19日

02時台,
03時台,
04時台.

降り止まぬ流星雨…。
飛び続ける大火球…。
「ピカピカッ!」
下を向いていても判る、ハデな火球の稲光…。

■ 01時台 ■

「どんどん増えてるー!」
エキサイティングな01時台


2001年11月19日午前1時台、
流星出現数は、バラつきはあるものの、着実に増え続けていった。
2時になる5分前は、出現が一気に急増し、興奮させた。


■ 02時台 ■

「カウントできない!!」

出現を記録する余裕は、もはやない…
容赦なく次から次へと飛び交う流星の群れ!!
ついに「流星雨」の幕が上がった
怒涛の02時台


電波時計が「02:00」を刻んだのを確認した直後、
空を見ると、一気に流星が降り注いだ!
「2時をまわったとたんに大流星雨だ!」
どうやら、九州地方の上空では02:00ちょうどの時刻に、
バースト的に大出現が起こったようである。

そして、午前2時台は「どこまで増えるんだ?!」と思わせるほど、
流星の出現が止まることなく増え続けた!

「もうこれだけ出れば充分なのに…!」
「もっとすごくなるというのか?!」

そんな、興奮が止まらない2時台であった。



■ 03時台 ■

「絶え間なく」降り注ぐ、歴史的な流星雨!!
「こんなにたくさん出ちゃって…。」
そして噛み締める。

「夢が叶ったんだ…。」

思わず立ち尽くし、感動に浸った
出現ピークの03時台


03時台に撮った写真

画角の狭い標準レンズによるわずか30秒間の露出だというのに、
10個近い流星が写りました。
この写真は私の一生の宝物となりました。

今夜も見えるの?
.

流星雨、今度はいつ見れる?



 午前2時から夜が明けるまでの間、実に4時間近くも続いていた今回の流星雨現象。
もう、本当に「空がすごかったです」、そんな言葉しか出ないほど、大変華麗な天体ショーとなりました。
私が見に行った山でも、流星が飛び始めた頃はあちこちから「キャー!」とか歓声が上がっていましたが、
絶え間なく流星が飛び続ける「流星雨」になってからは、常に流星が流れているのに、歓声は全く聞こえなくなりました。きっと、流星雨に感動して押し黙ったのか、それともたくさん流星を見過ぎて流星に飽きてしまったのでしょう。

 今回の流星雨を眠って見逃した人は、きっと悔しい思いをしているのではないでしょうか。そんなわけで、「まだしばらく流星雨は見えるんじゃないか」と思われている人もいると思います。でも、次の晩にあたる11/19の深夜(20日未明)は、まだ流星は多少流れますが、もう19日未明のような雨のように降る大出現はほとんど期待できません。とはいえ、来年2002年のしし座流星群も科学者の予想によっては引き続き大出現が期待できると言われています。ただし、来年の大出現は地球の反対側のアメリカ付近で起こるとされているので、残念ながら日本からは見ることができないでしょう。

 今度、しし座流星群の生みの親である母彗星テンペル・タットル彗星が回帰することによる大出現が期待できるのは2033年頃ですが、この年はあまり出現しないという説もあり、そうなると次回の流星雨遭遇チャンスは66年後にもなり、一生のうちに見られる流星雨は、今回が最初で最後だったものだと言えるでしょう。そんなわけで、今回の流星雨は、一人一人にとって一度きりの貴重な「宇宙体験」だったのであり、見逃された方は残念です、としか言いようがないでしょう。でも、流星ならば、毎年3つの「流星群」が見られ、1月、8月、12月にたくさん流星を見るチャンスが廻ってきます(詳しくはここを参照)。

 毎年12月13日頃には、冬の風物詩ともいえる流星群、「ふたご座流星群」が見頃を迎えますが、今回のしし座流星雨と比べればあまりに迫力がなく、流星を待つ間はひたすら寒いので、観望は厳しいものになるでしょう。それでも、ピークの夜には1時間に数十個の流星が見られるので見てみる甲斐はあります。

 2001年11月19日未明、予想通りの流星雨が見られ、その流星の乱舞の華々しさに感動された方も多かったことでしょう。いつもは星々が張り付いているだけの静かな夜空が、巨大スクリーンとなって見せた、一夜限りの大天体ショー! この光景を一生忘れず、大切な思い出にしたいものです。