木星食  2001年8月16日未明

木星食の観測レポートです。
デジカメで撮った木星食の画像を紹介します。


月に隠されていた木星が再び現れた直後の写真です。


木星
 2001年8月16日の未明、全国で「木星食」が見られました。一般に、月の後ろに惑星が隠される現象を「惑星食」といいます。普通の星が隠される「恒星食」は頻繁に起きていますが、惑星食は数年に1度見られる程度の珍しい現象なのです。
 惑星食には、金星食、火星食、木星食、土星食などが挙げられますが、その中でも今回の「木星食」はかなり見応えのある惑星食です。しかも今回は、(条件よく見られるものとしては)実に57年ぶりに見られた木星食なので、貴重でした。
 木星は太陽系で一番大きな惑星で、望遠鏡で見た見かけの大きさも大きく、しかも、木星の周りには4つの明るい衛星も見えます。ですから、丸い木星が欠けていく様子だけでなく、点状の衛星が隠される様子も同時に見ることができるのです。


● 木星の潜入

月に隠されていく時のことを「潜入」といいます。
木星は、月の光っている側から潜入しました。私がちょうど観測場所に到着して望遠鏡をセットして覗いた時、まさにその時がちょうど木星が隠れていっている時でした!
焦りながらも木星の潜入をギリギリセーフで見ることができましたが、慌てていて潜入の様子は撮りそびれました。

● 木星の出現

「潜入」に対して、木星が再び月の背後から姿を現す時のことを「出現」といいます。
熊本では03時50分、木星は数十秒かけて月の暗縁(光っていない部分)からジワーッと顔を出しました。木星が半分だけ現れて半分隠された状態を撮影するつもりでしたが、カメラの準備をしているうちに木星は出てしまい、撮影できませんでした。 四つの衛星の出現も全て見ることができました。

木星の潜入・出現の位置 (熊本)

木星食 写真紹介

出現後、月と木星が離れていく様子をデジカメに撮りました。
とはいえ、望遠鏡の接眼レンズにデジカメを押し付けて直接撮ったので、あまり写りは良くありません。
画像は全てレベル補正・トリミングしてあります。
ちなみに、動いているのは木星ではなく、月のほうです。


03時53分 (出現3分後)

木星が出現して3分後の写真です。
眩しい木星のすぐ左横に、顔を出したばかりの衛星エウロパの光点も写っています。他の衛星、カリストとガニメデはまだ現れていません。

月が真っ黒なのは、月の夜の部分しか写っていないためです。画面左上に三日月の端っこ部分が確認できます。


03時56分 (出現6分後)

木星が出現して6分経ちました。
ちょっと見えにくいですが、隠されていたカリストとガニメデも出現し、木星と四大衛星が出揃いました。
なお、木星のすぐ右横の衛星イオは、木星の輝きに埋れてこの画像では確認できません。



04時02分

出現から12分が経ち、木星と衛星たちは大分月から離れてきました。

月と木星

ファインダーから撮ってみました。肉眼で見た感じに近いでしょう。


月・木星と金星

月と木星がくっついて見えているすぐ下には、眩い金星も輝いており、これら3つの輝きもまた、美しく眺められました。


木星が隠されている間は、月のクレーターを見たりして過ごしました。 観測風景。ノートパソコンで月と木星の現在位置を確認しながらの観測。